2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10314
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
神田 昌枝 東海大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電歪ポリマー / 電子線照射処理 / ポリウレタン / 接着強度 |
Research Abstract |
25年度は、試料厚さの異なるポリウレタン(PU)に電子線照射処理し、試料の電歪測定とX線回折法(XRD)を中心に測定を行った。さらにPUと異種材料の接着は、PUとAlを重ねた状態で電子線照射処理し、その後ホットプレス処理した複合処理を施し、接着強度の評価を行った。 PUに電子線照射処理(0.17MGy)を行うと、50と100μm試料ではそれぞれ電歪が1.6、1.8倍も向上した。さらに、比誘電率が電歪の向上を促す為、電子線照射処理における各試料の比誘電率を測定した。その結果、電歪測定時の周波数0.1Hzにおいて、試料厚さ50と100μm共に電子線照射処理後は、比誘電率が高くなった。またXRDの結果より15μmの試料は、電子線照射処理を行うと半価幅は狭くなった。150μmの試料は、電子線照射処理を行うと示差走査熱量測定(DSC)の結果から求めた結晶化率がわずかに増加したので電歪が高まると考察した。 電子線照射処理後に温度130℃、圧力5MPa、時間3minの条件でホットプレス処理を施したPUとAlの積層シート試料は、電子線照射量の増大に伴い接着強度の向上が見られ、電子線照射線量0.22MGyにおいて全剥離確率が最大値を示した。この複合処理したPU/Al接着界面のAl側をX線光電子分光(XPS)で分析した結果、Al側界面に炭素を検出した。電子線照射処理により相手材料との界面接着強度が、PUの凝集力より大きいことを確認した。これらの結果から電子線照射処理後にホットプレス処理した複合処理は、高分子材料と金属材料の接着を可能にした。この技術は医用分野でも効果的であり、過度な加熱や接着剤使用による材料劣化を防ぐ可能性を見出した。以上の研究成果は、国際学術論文や国内外の学会で公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度における「研究の目的」の達成度は、1ヶ月という短期間でフランスの国立応用科学院リヨン校(INSA Lyon)にて電歪測定だけでなく、様々な測定結果から電子線照射処理の効果を確認し、幅広く研究を行った。特にXRDを用いて高分子の結晶構造を検討する際は、試料によって測定条件を探し、時間を掛けて測定を行う事で、低角度側の測定が可能である条件を探し出した。研究成果は、国際学術誌で公表されているだけでなく、高分子やスマート材料関連の国際会議を中心に日本金属学会や機械学会等で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、電子線照射処理によるナノ構造の変化と特性の関係を中心に研究を行う。特にポリウレタン(PU)試料厚さを一定にさせ、電子線照射線量の依存性について、電歪を中心に比誘電率、示差走査熱量測定(DSC)をフランスの国立応用科学院リヨン校(INSA Lyon)にて実験する。また、電子線照射処理の経年変化についても引き続きX線回折法(XRD)等を使用し検討を行う。PUと異種材料の接着については、引き続き別の試料を用いて検討を行う。
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Research Products
(10 results)