2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10314
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
神田 昌枝 東海大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電歪ポリマー / 電子線照射処理 / ポリウレタン / ポリエチレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一般的に軽量で柔らかく、容易な製造が可能で高い歪 (380%など)を示し、環境・省エネが求められる動力・発電源として脚光を浴びている新しいアクチュエータ材料、電歪ポリマー(EAP)に注目し、低電場駆動による歪の向上だけでなく、本来、EAPは人工筋肉への応用として研究が進められた事から、医療分野への発展医療への応用を目指し、研究を行っている。 26年度は、ポリウレタン(PU)にナノサイズのカーボンブラック(CB)を分散させ、その後、その複合試料に電子線照射処理し、試料の電歪測定と誘電率測定を中心に測定を行った。さらに、シンプルな構造を持つ高分子材料であるポリエチレン(PE)パウダーに電子線照射処理を施し、表面処理の効果について評価した。 試料厚さ40μmの複合試料(PUにCB粉末を分散させた材料)の電子線照射処理(0.17MGy)を行うと、歪が向上する事が分かった。また、電子線照射処理したPEパウダーをペレット状に加工し、引張試験を行った結果、電子線照射処理0.043MGyにおいて、最大応力、最大歪が向上する事が分かった。一方、電子線照射処理により剛性が高くなる事も分かった。試料内部に存在する結晶化量を確認する為、示差走査熱量測定(DSC)により未照射のPEと照射後(0.043MGy)の結晶化量を測定した結果、未照射のPEは37%、照射後(0.043MGy)は46%であった。つまり、電子線照射処理により、結晶化量が増えていることが分かる。以上の研究成果は、国際学術論文や国内外の学会で公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度における「研究の目的」の達成度は、2ヶ月間でフランスの国立応用科学院リヨン校(INSA Lyon)にて電歪測定だけでなく、様々な測定結果から電子線照射処理の効果を確認し、幅広く研究を行った。その結果、ポリウレタン(PU)にナノサイズのカーボンブラック(CB)を分散させた複合材料に電子線照射処理し、歪が向上する事が分かった。研究成果は、国際学術誌で公表されているだけでなく、高分子やスマート材料関連の国際会議や日本金属学会を中心に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、引き続き、電子線照射処理によるナノ構造の変化と特性の関係を中心に研究を行う。特にポリウレタン(PU)試料、PUにナノサイズのカーボンブラック(CB)を分散させた複合試料の厚さを一定にさせ、電子線照射線量の依存性について電歪を中心に比誘電率、示差走査熱量測定(DSC)をフランスの国立応用科学院リヨン校(INSA Lyon)で実験を行う。また、電子線照射処理の経年変化についてもDSC、X線回折法(XRD)等を使用し検討を行う。
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Research Products
(8 results)