2013 Fiscal Year Annual Research Report
赤外線宇宙望遠鏡を用いた太陽系外縁部に潜む巨大天体の完全検出
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13J10319
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有松 亘 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽系外縁部 |
Research Abstract |
本年度は、遠赤外全天走査観測データの解析を進めるとともに、観測されている点光源の特性を研究し、論文を作成した。『あかり』の遠赤外全天走査観測データに映り込んでいる赤外標準星のスタッキング解析を行い、モデルから予想される明るさに対して点光源の応答性に変化があるかを調査した。その結果、およそ二桁にわたる明るさの範囲において、点光源の応答性に明るさ依存性がないことを確認した。本成果は遠赤外観測データの微弱点光源に対する性質を調べた貴重な結果であり、一般的な微弱遠赤外線天体の研究に対しても有益な成果である。 研究計画中には明記していなかったが、本研究目的である惑星系の進化プロセスを解明する上で極めて重要な観測的成果も得られた。全天拡散光マップに映り込んでいるA型主系列星に対してスタッキング解析をおこない、周囲に空間的に大きく拡がった遠赤外構造を発見した。この構造は彗星の起源である『オールト雲』に相当する彗星雲がA型星に存在することを示唆している。 こうした成果に加え、太陽系外縁天体を検出するための新たな観測手法を開発し、観測的研究を行った。TNOは移動天体であるため、背景の恒星を一時的に隠す掩蔽現象をおこす。この掩蔽現象を観測することで、TNOの検出が可能になる。既存の高視野、高感度な撮像システムを利用し、こうした掩蔽現象を非常に高い効率で検出する手法を開発した。そして本観測手法を用いた観測を2013年9月と12月に東京大学木曽観測所で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FIS全天サーベイのデータの特性改善手法の開発と、特性評価はほぼ終了し、特性評価についての投稿論文も作成した。特性評価の結果を基に太陽系外オールト雲仮説に対する新しい知見を得ることに成功したほか、TNOの新しい観測手法の開発も行った。現在までに得られた結果は、当初の目的である惑星系の進化プロセスを解明する上で、当初の予定と比べ、予想と同程度か、予想以上の進展をみせているといえる。よって、総合的にはおおむね順調に推移していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在行っている系外オールト雲仮説の検証をさらに進める予定である。さらに、開発したTNO検出法のさらなる改良と観測をすすめ、TNOの検出を目指す。
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Research Products
(4 results)