2013 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激に応答して機能変化するπ共役系液晶材料の構築
Project/Area Number |
13J10344
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三谷 真人 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 液晶 / 刺激応答性発光材料 / オリゴチオフェン |
Research Abstract |
液晶性有機半導体は自己組織化による電子機能部位の集積により異方的で効率的な電荷輸送が可能であり、またその高い溶解性や柔軟性のために近年注目を集めている。一方で液体と結晶の性質を併せ持つ液晶は、外部刺激に応答して配向変化や相転移を示す動的な材料として知られている。しかしながら従来の液晶性有機半導体は電気伝導特性のみを有する静的なマテリアルであり、液晶の動的な性質を利用した液晶性有機半導体は報告例がない。外部刺激により液晶性有機半導体の相転移を誘起することができれば、分子の集合構造変化に伴う劇的な電気伝導特性の変化が達成できると考えられる。本研究の目的は外部刺激に応答して相転移し機能変化するπ共役系液晶材料を構築することである。 まず、外部刺激として機械的刺激に応答し相転移を示す液晶性有機半導体の開発を行った。結晶状態において良好な電気伝導度が報告されているオリゴチオフェン誘導体に着目し、電子活性部位として導入した分子を設計・合成した。得られた化合物は等方相からの冷却過程に依存して異なる液晶相を発現し、徐冷過程ではレクタンギュラーカラムナー相を、急冷過程ではキュービック液晶相を発現した。キュービック液晶相を発現している化合物に対し機械的刺激を印加することで、カラムナー相への相転移を誘起することに成功し、相転移に伴い発光色が黄緑色から青緑色へと変化した。化合物の電気伝導特性を評価するために、各液晶相においてTime of Flight測定を行ったが、キャリア移動度を評価するのに十分な電流値を得ることができなかった。これは電子活性部位の両端に導入した嵩高い置換基が、効率的な電荷輸送を阻害したためと考えられる。電子活性部位の電子機能を引き出すためには、両端に導入する置換基の分子構造をより最適化してゆく必要があると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的としていた電子機能の発現には至っておらず、現在電子機能を引き出すための分子設計指針の探索中である。しかしながら平成25年度の研究により、電子活性部位を有し、刺激に応答して相転移する液晶を構築する手法を見出すことができたため、今後の研究において更なる発展が期待できる。以上のことから、平成25年度の研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
分子が有する電子機能を引き出すために、π共役部位を拡張した分子や異なる官能基を有する分子を新たに設計・合成する。得られた化合物については液晶性、刺激応答性および電気伝導特性について評価を行い、刺激応答性を有する液晶性有機半導体の設計指針に対する知見の集積を行う。
|
Research Products
(4 results)