2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10369
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
神戸 裕介 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FRET / リコンビナントタンパク / バイオマテリアル / シルク / バイオメカニクス / 血管誘導 / 組織工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織再生過程での細胞と足場材料との相互作用を評価・理解することは再生メカニズムの解明や足場材料の開発に重要な知見を与え得るものの,力学的な評価は限られている.本研究では,細胞-材料間の力学的相互作用を可視化し得る,フォルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を利用した力学センサの開発に取り組んでいる.本年度は,基板へのセンサの固定条件の検討,センサ固定基板上での細胞の経時蛍光観察及びセンサ導入シルクフィブロインスポンジの作製を行った.センサ固定密度,洗浄液組成,観察中に用いる培養液を変化させ,スペクトル観察による検討を行った結果,相互作用の検出に必須な分子内FRETが支配的となる条件を得た.本条件で作製したセンサ固定基板上に線維芽細胞を播種し,共焦点レーザー蛍光顕微鏡による経時観察を行った.その結果,細胞移動に伴う,仮足先端部でのFRETインデックスの変化を認めたため,二次元環境での細胞-材料間力学的相互作用の可視化が示唆された.また,シルクフィブロイン結晶領域の繰返し配列を融合したセンサの作製及びシルクフィブロインスポンジへの導入に取り組んだ.昨年度の成果を基に,繰返し配列融合センサをシルクフィブロインのリン酸緩衝溶液に添加し,1 vol%のジメチルスルホキシド存在下で凍結融解させることで,センサ導入シルクフィブロインスポンジを得た.電子線滅菌後でもセンサ由来の蛍光が観察されたため,活性を維持したセンサを含んだ三次元足場材料の作製に成功したと考えられる. 生体組織の三次元的な機能・構造再生の達成には,再生部への血管誘導が重要であるため,本年度は,また,血管誘導性ペプチドの作製とこれを導入したシルクフィブロインゲルの評価を行った.その結果,血管誘導性ペプチドによって,皮下組織におけるゲル内部への血管・組織の浸潤が促進されたため, 三次元的な組織再生を達成し得ると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的である,力学センサの細胞存在下での動作確認及び力学センサの三次元シルクフィブロイン材料への導入を達成できたため.さらに,三次元的な組織再生を補助し得る,in vivoでの血管誘導を達成できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
基板に固定されたセンサの動作確認において,これまでは,細胞移動時の細胞形態の変化に伴うFRETインデックス変化の取得を行ってきた.人為的な操作に伴うFRETインデックスの変化を取得すれば,センサの動作確認を確実なものとできると考えらるため,今後は細胞形態変化を誘導する試薬の影響を検討する. また,本年度,血管誘導によるin vivoでの生体組織の三次元的な機能・構造再生が期待される結果が得られたため,今後,皮下組織以外での組織再生も検討する.
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Research Products
(9 results)