2013 Fiscal Year Annual Research Report
Sirt1によるユビキチン・プロテアソーム系の機能制御機構の解明
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13J10370
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨田 拓哉 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Sirt1 / ユビキチン / プロテアソーム / Hsp70 / タンパク質品質管理 |
Research Abstract |
これまでの研究において、Sirt1欠損MEF細胞ではユビキチン化タンパク質が蓄積しており、さらに分子シャペロンであるHsp70が発現低下していることを見出していた。これによりSirt1がタンパク質の品質管理機構に大きく寄与していることが考えられたため、今年度は主にSirt1欠損によるHsp70に関連するタンパク質品質管理への影響を解析した。 まずHsp70の発現がSirt1により制御されていることを確かめるため、Sirt1欠損MEF細胞に野生型Sirt1を入れ戻したところ、Hsp70発現量はSirt1により影響を受けることが確かめられた。さらにSirt1欠損MEF細胞にHsp70を過剰発現させるとユビキチン化タンパク質の蓄積量は減少したが、野生型MEF細胞での蓄積量ほどまでは減少しなかったため、Hsp70発現低下以外にもユビキチン化タンパク質を蓄積させる要因があることが考えられた。これについては次年度以降に解析を進める予定である。 加えて、Sirt1欠損MEF細胞におけるHsp70の発現低下がタンパク質の品質管理に悪影響を及ぼしていることを確かめるため、pVHLの分解アッセイを行った。pVHLはHsp70関連のタンパク質品質管理を調べる際の良い基質と知られている。このアッセイ系を確立しpVHLの分解を解析したところ、野生型MEF細胞では時間依存的な分解が見られたのに対し、sirt1^<-/->MEF細胞では明らかな分解遅延が観察された。これにより、Sirt1欠損MEF細胞ではHsp70に関連するタンパク質品質管理に異常があることが認められた。今後は更に他のHsp70に関するタンパク質品質管理を解析するほか、Sirt1欠損マウスを搬入し研究室内で系統を確立したため、Sirt1欠損による個体でのタンパク質品質管理への影響を解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Sirt1欠損MEF細胞におけるタンパク質品質管理において、Hsp70の発現低下が関与していることを具体的な基質(pVHL)も挙げて示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Sirt1欠損MEF細胞におけるユビキチン化タンパク質蓄積の原因は複数あると考えられるため、Hsp70の発現低下以外の要因について解析を進める。また、このユビキチン化タンパク質蓄積が有害であるかを判断するため、Sirt1欠損マウスの解析を始める。
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Research Products
(2 results)