2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10411
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伏見 卓恭 静岡県立大学, 大学院経営情報イノベーション研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 複雑ネットワーク / 構造推定 / エゴセントリック情報 / MixingMatrix / EMアルゴリズム / 機能コミュニティ |
Research Abstract |
ノード属性情報, 及び, 混合行列(mixing matrix)と呼ぶノード間の繋がりに関する属性マクロ情報のみから, ネットワークの精緻なミクロ構造を推定する研究を課題とし取り組んだ. そして, 本問題を数理的に定式化し, 統計的機械学習アプローチを土台に, 大域的な収束性を保証するなど理論的に優れた構造推定アルゴリズムを考案し, 手法として確立した. 現実のネットワークデータを用いた提案法の基本性能に関する評価実験では, パラメータや使用する属性数, 属性の性質を変化させた網羅的な実験により, その有効性を実証するとともに, 幾つかの興味深い知見も同時に導き出すことができ, 第6回Webとデータベースに関するフォーラムにおいて「学生奨励賞」を受賞した. さらに, 単純ネットワークを対象としている本研究の枠を超え, 多重ネットワークや二部グラフへの応用可能性を示唆する結果も得られた. 企業間取引ネットワーク(多重ネットワーク)を対象とした研究では, 付加量と呼ぶネットワーク外部からの取引流入量に関する構造推定に提案法を適用し, 各企業取引量の推定誤差の大幅な削減を実現させるとともに, 大規模な取引データに内在する本質的な構造の発見も大いに期待できる状況にある. レビューサイト, ECサイトにおけるユーザ・アイテム間関係(二部グラフ)に関する研究においても, 通常の混合行列ではなくZスコアを用いた行列を用いることで, 規模の大きさに隠れてしまう統計的有意なリンク傾向を定量化し, 大規模なレビューデータに内在する本質的な傾向の発見に寄与する手法を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において, 当初の予定通り当該研究の核となる構造推定問題を定式化し, 解法アルゴリズムを確立した. さらには, 単純ネットワークだけでなく, 多重ネットワークや二部グラフへの応用可能性が示唆される結果が得られ, それらへの拡張を見据えた研究にまで着手することができたため, 当初の計画以上に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は構造推定法を確立し, 実ネットワークデータで評価したものの, 推定法の性質を明らかにするために, 属性情報は人工的に生成したものを使用した. 提案推定法の現実データへの適用可否を評価するためには, 実属性情報を使用することが望ましいため, 実属性情報による評価を進めるとともに, 評価法の確立を目指す.
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Research Products
(8 results)