2013 Fiscal Year Annual Research Report
IRF3によるIL-33遺伝子発現誘導の腸炎における役割
Project/Area Number |
13J10423
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三木 祥治 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | IL-33 / TSLP / 腸炎 |
Research Abstract |
申請当初から継続していた本研究は平成25年度の検討を合わせ、当初の予定よりも早く進展し、計画していた多くの検討において、すでに興味深い結果が得られている。 すなわち、腸におけるIL-33の産生機構について、大腸の内容物が刺激性を持ち、STING、IPSl、MyD88といった経路を活性化し、これらの経路が複合的に遺伝子誘導に寄与している事が明らかとなった。また、IRF3は腸炎の抑制に関わる遺伝子としてIL-33だけでなくTSLPの発現制御にも関わっており、その転写調節機構についても、reporterassay等によって解明した。さらに、このような腸の内容物による遺伝子誘導は腹腔マクロファージや樹状細胞、MEFで観察され、IRF3によるこれらの遺伝子誘導は細胞特異的というよりも、様々な細胞において共通に機能する重要な機構である事が示唆された。実際にin vivoでも、腸から血球系細胞、上皮細胞を単離し、IL-33、TSLP両遺伝子の発現誘導を解析すると、血球系細胞、上皮細胞、共にIL-33、TSLP両遺伝子の発現を確認する事ができ、これらはIRF3欠損細胞において減弱を示した。この結果からも、特定の細胞だけではなく、様々な細胞においてIRF3が重要な役割を果たす事が示唆された。さらに、Germ Free mouseの糞を用いてMEFを刺激した所、IL-33、TSLP両遺伝子の誘導は見られなかった事から、これらの遺伝子誘導に腸内細菌が重要である事が明らかとなった。 このような結果から、申請当初から平成25年度までの検討で、予定していた多くの検討結果が得られ、かつ、当初の推測よりも興味深いIRF3の重要性が明らかとなった。そのため来年度以降の計画は繰り上げおよび変更し、さらに研究を推進する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた検討の多くが完了しているだけでなく、TSLPに関する新しい知見も得られていることから、当初の計画以上に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析結果から、大腸内容物によるIL-33およびTSLP遺伝子の発現は様々な細胞で共通してIRF3に依存している事が示唆され、特殊な高発現細胞が存在するとは考えにくいことから、予定していた細胞群の同定は行わない事とする。一方で、IL-33およびTSLPの発現を誘導する大腸内容物中の刺激物は特定できていないが、腸内細菌の重要性を示す興味深い知見を得ており、スクリーニング系の立ち上げも完了している事から、今後、IL-33およびTSLPの高発現を誘導する菌の同定、解析を進める予定である。このような菌が同定できれば、分子機序の解明から新しい基礎的知見が得られるだけでなく、応用に直結する非常に興味深い発見になると考えている。
|
-
[Journal Article] Beneficial innate signaling interference for antibacterial responses by a Toll-like receptor-mediated enhancement of the MKP-IRF3 axis.2013
Author(s)
Hideo Negishi, Kosuke Matsuki, Nobuyasu Endo, Hana Sarashina, Shoji Miki, Atsushi Matsuda, Naoko Taguchi-Atarashi, Keiko Fukazawa, Hiroaki Ikushima, Hideyuki Yanai, Junko Nishio, Kenya Honda, Yoichiro Fujioka, Yusuke Ohba, Tetsuo Noda, Shun'ichiro Taniguchi, Eisuke Nishida, Yongliang Zhang, Chen Dong, Hongbo Chi, Richard A. Flavell and Tadatsugu Taniguchi
-
Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 49
Pages: 19884-9
DOI
Peer Reviewed
-
-