2014 Fiscal Year Annual Research Report
動的な生命現象の可視化を可能とする可逆的な蛍光プローブの分子設計法の開発
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13J10424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鏡味 優 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年開発した合成法に基づき、可逆的蛍光プローブのモデル化合物となるSiローダミン群を合成した。そして生体分子との反応後にプローブが蛍光性となったのちに無吸収・無蛍光性となる可逆的なプローブのコンセプトが機能するか検討を行った。しかしながら、合成した様々な化合物の評価結果から本コンセプトの成立は難しいと結論づけた。 一方で合成した様々なSiローダミン誘導体の光学特性を精査したところ、既存のSiローダミンと比べて極めて特殊な性質を有する分子を複数見出すことができた。私はこれらの分子をプローブの母核として用いることで、既存の蛍光プローブの課題が解決できるバイオイメージングに優れた特性を有する蛍光プローブが開発できると考えた。 見出したピペラジン環を有するSiローダミンは、溶媒のpHが酸性から塩基性に変化するにつれて吸収波長が大きく長波長化するpH依存性を示した。本分子の励起スペクトルを測定したところ、pH変化に応じて励起が長波長化したことから、本色素はレシオ型のpHプローブとして機能すると考えた。レシオプローブとは、異なる二波長で励起した際の蛍光強度の比を算出することで、測定誤差をキャンセルアウトした定量性の高い測定ができる蛍光プローブである。 また、見出したアセチル基を有するSiローダミンは、溶媒の極性が小さくなるにつれて吸収スペクトル大きく長波長化することを見出した。励起スペクトルを測定したところ、溶媒の誘電率低下に応じて励起が長波長化したことから、本色素はレシオ型の環境感受性プローブとして機能すると考えた。 これまでにローダミンを母核としたレシオプローブは報告されておらず、これらの分子はSiローダミンの特徴である高い蛍光性と光安定性を特徴としたバイオイメージングに優れた蛍光プローブへと発展すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記したテーマとは異なるが、本年度に得た研究成果はケミカルバイオロジー分野に大きな発展を与える新しいものであり、また既存の蛍光プローブには出来ないバイオイメージングを行うという研究計画に記した目的の達成に大きく近づくものだと考えられるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度に見出したSiローダミンを母核として、細胞内のpH変化や生理活性分子の濃度変化を定量的に観測できる蛍光プローブの開発を行う。開発したプローブは使用する系に応じて化学構造を最適化してバイオイメージングに使用し、新たな生物学的知見を得る。
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Research Products
(6 results)