2015 Fiscal Year Annual Research Report
動的な生命現象の可視化を可能とする可逆的な蛍光プローブの分子設計法の開発
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13J10424
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鏡味 優 東京大学, 薬学(系)研究科(研究院), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛍光プローブ / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
個々の細胞内小器官はそれぞれ固有のpHを維持することで様々な機能を発揮している。本年度は、前年度に見出した「レシオ型pHプローブ」の誘導体を合成・評価し、特定の生細胞内小器官のpHを測定できるpHプローブの開発および生細胞応用を行った。 はじめに、細胞内成分の消化・分解を担う酸性小器官「リソソーム」のpH測定を試みた。昨年度に見出した分子に電子求引性基や水溶性官能基を導入することで、酸性pHで大きなシグナル変化を示し、生体高分子へのラベル化に適したpHプローブ誘導体の開発に成功した。本分子をリソソーム選択的に送達される生体高分子にラベル化し、細胞に添加してリソソームのpH測定を試みた。その結果、リソソームの塩基性化試薬の添加に伴いリソソームのpHが約4.7から約6.2まで変化する様子を経時的に観察することに成功した。現在は共同研究者と共に本プローブの生物学研究への応用を行っている。 次に、鉄輸送タンパク質の輸送に伴う小器官内pH変化の測定を試みた。鉄輸送タンパク質であるトランスフェリン(Tfn)は、細胞膜上のTfn受容体と結合すると細胞内に取り込まれ、酸性の初期エンドソームから少し塩基性したリサイクリングエンドソームへと輸送されることが知られている。一方で、その輸送過程におけるpH変化を経時的に可視化したという報告はない。開発したプローブをTfnにラベル化し、細胞に添加したところ、Tfnが初めは酸性度の高い初期エンドソームに局在し、5~10分程で少し塩基性化したリサイクリングエンドソームへと輸送される様子を経時観察することに成功した。 以上のように、本年度はレシオ型pHプローブの開発および生細胞応用に成功した。今後は本プローブおよび観測技術の生命現象や疾患のメカニズム解明への貢献が期待される。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)