2013 Fiscal Year Annual Research Report
ウズラの精巣機能制御におけるAMHの役割とその分子機構の解明
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13J10520
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大嶽 茂雄 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 性分化因子 / 鳥類 / ウズラ / 生殖腺 / 精巣 / AMH / AWH受容体 / TGFβ |
Research Abstract |
光条件により精巣の形態・機能を劇的に変化させることが可能な鳥類のウズラ(長日繁殖動物)を用い、精巣での様々な性分化因子の発現動態を調べた。 様々な脊椎動物で知見のある性分化因子(液性因子と転写因子)を選択し、長日/短日条件の精巣でRT-PCRによる発現解析を行った。液性因子では、AMHの発現量が最も多く、短日条件で発現量が顕著に増加した。また、転写因子の中で、長日条件と比べて短日条件で発現量が増加したものはSF1, WT1, GATA4, Sox9, Dax1であり、AMHの発現制御に関与するものであった。 次にこれらの因子が精巣のどこで発現しているのかをin situ hybridizationにより調べた。現在までにAMH, Sox9, WT1, SF1について解析を行った。AMH, Sox9, WT1は精細管内の体細胞であるセルトリ細胞で発現していた。SF1はセルトリ細胞に加え、ライディッヒ細胞にも発現していた。このように、AMHと転写因子はセルトリ細胞で共発現しており、成体の精巣においてAMHの発現制御系が機能していることが示唆された。 AMHが属するTGFβsuperfamilyの因子はリガンド特異的なII型受容体と異なるリガンドで共有されるI型受容体に結合することでシグナルを伝達する。そこで次に、AMHの作用部位を調べるため、受容体の発現解析を行った。II型受容体のAMHR2に関しては鳥類で配列情報が存在しなかったため、解析に必要な部分配列の同定を行った。AMHR2は精巣と卵巣特異的に発現していた。AMHR2もAMHと同様、短日条件の精巣で高い発現を示し、セルトリ細胞で発現していた。また、AMHのI型受容体の候補であるALK2, ALK3, ALK6も短日条件の精巣で高い発現を示した。これらの結果から、精巣機能の制御にAMHシグナル系がはたらいている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、AMHシグナル系が精巣の機能制御に関与していることを示唆する結果が得られ、学会で積極的に発表することができた。しかし、AMH受容体の同定に時間を要し、研究内容をあまり広げられなかった点が反省すべき点だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
AMHシグナル系は他のTGFβsuperfamilyとシグナル伝道経路を共有している。また、TGFβsuperfamilyの因子の多くは精巣で発現し、精子形成に関与することが知られている。このことから、今後は他のTGFβsuperfamilyのリガンド、受容体の解析も行い、AMHシグナル系との関連を調べることで、その意義を明らかにしていく予定である。 また、AMHR2の発現は卵巣でも高い発現がみられたことから、AMHシグナル系が卵巣でも機能していることが示唆される。そこで、卵巣での研究も取り入れ、精巣でみられる現象との比較を行いたいと考えている。
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Research Products
(2 results)