2013 Fiscal Year Annual Research Report
葉肉組織への二酸化炭素と水の供給を制御するABA:分子細胞生理学的アプローチ
Project/Area Number |
13J10531
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝上 祐介 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 葉肉コンダクタンス / 乾燥ストレス / アブシジン酸(ABA) / アクアポリン / カルボニックアンヒドラーゼ |
Research Abstract |
本研究では, ABAによるg_mの低下メカニズムの解明を目的として, 蒸散とCO_2の取り込みのバランスをどのように制御しているかを包括的に解明することを目的としている。本年度は, ABAがg_mの変化要因である細胞膜局在アクアポリン(PIP), カルボニックアンヒドラーゼ(CA)に与える影響の解析を目的とした。はじめに, シロイヌナズナには13種類のPIPが存在するため, 発現量の多いPIPをRT-PCRを用いて絞り込んだ。発現量の多かった, PIP1 ; 2, PIP2 ; 1, PIP2 ; 3, PIP2 ; 6のT-DNA挿入株を入手し, それぞれのABA処理前後のg_m応答を比較したところAfpip2 ; 6ではABAに対するg_mの感受性が低い傾向にあった。つまり, ABAによるg_mの低下にはPIP2 ; 6が関与している。PIP2 ; 6の発現量, 活性は光合成速度へも影響すると考えられる。PIPのでリン酸化・脱リン酸化レベルの解析を進めるために, 手法の開発をPro-Qダイアモンド、Phos-tagを用いて行っているが, 現在のところ手法の完成には至っていない。また, PIPのGFPラインシロイヌナズナを用いて膜交通による制御の検証も進めている。PIP2 ; 1-GFPラインを入手し, ABA添加実験を行ったところ, g_mが低下することを確認できた。同時に, 共焦点レーザー顕微鏡を用いた, 葉肉細胞のPIP膜交通の観察にも成功した。 CAの解析を進めるために, 発現量が多いと報告されているβCAの6分子種のT-DNAライン挿入種子をストックセンターから入手し, PCRチェックを行い, T-DNAラインの確立を進めている。微小電極を用いたHatch et al. (1990)の方法によるCA活性の測定系は, 確立できている。T-DNAラインを確立でき次第, ABA添加実験とCA活性の測定を行うことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクアポリンを用いた実験は予定通りに進展しているが, CAを用いた実験はT-DNAラインの確立に予定よりも時間がかかっている。しかし, 確立されれば, すぐに結果を出せる準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は, 蒸散とCO_2の取り込みのバランスをどのように制御しているのかを包括的に解明することである。ABAに対する応答の解析が進んできており, より理解を深めるためには, CO_2を変化させた時の応答を解析することも重要である。また, CO_2に対するg_mの応答も報告されているため, シロイヌナズナT-DNA挿入ラインを用いた解析は, 有用なものとなるであろう。そこで, 当初の研究計画に追加して, CO_2に対する応答の解析も進める。
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Research Products
(5 results)