2013 Fiscal Year Annual Research Report
強光子場中の分子の多電子と核のダイナミクスのアト秒精度計測
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13J10603
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒見 悠介 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トンネルイオン化 / フェムト秒レーザー / イオン・光電子分光 |
Research Abstract |
修士課程から行ってきた高次高調波の研究と研究課題である分子のトンネルイオン化についての研究を行ってきた。まず、高次高調波の研究については実験結果を再現するためのシミュレーションコードを開発した。また新しい高次高調波のモデルを考案することで実験結果を簡単に表現することにも成功した。これらの結果は国際学会で発表し、現在論文として投稿中である。次に分子のトンネルイオン化についての研究はレーザー光の準備と測定器の準備を並行して行ってきた。レーザー光に関しては波長800 nmのフェムト秒レーザーとその二倍波である波長400 nmのフェムト秒レーザーをほぼ時間的、空間的に重ねることに成功した。二倍波はBBO結晶を用いて発生させ、基本波と二倍波の時間差は複屈折結晶である方解石とガラス板を透過させることで行った。時間差の測定は予めビームスプリッターで分けられたもう一つの基本波を用いて別のBBO結晶内で相関をとることにより行った。測定システムについては開発してきた電子・イオン多重同時計測運動量画像分光装置を使用するために様々なパラメータの最適化を行った。また、実験で観測される大量の情報を解析するためのプログラムを開発した。具体的にはイオン・電子の運動量測定やクーロンイメージングを行うためのプログラムなどである。予備実験として窒素分子を分子配列用パルス(ポンプ光)で配列させ、それをもう一つのパルス(プローブ光)でイオン化させ、そこから発生するイオンと光電子を観測した。得られたデータを解析することによりポンプ光の照射後、ある時間差をおいて分子が配列する様子を観測することができた。この予備実験により光学システムと測定器のシステムが問題なく働いていることを確かめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前から行ってきた高次高調波の研究を完了させ国際発表し、投稿作業をおこなってきた。その間も課題の研究の準備を並行して行ってきたので計画通り進めることができた。これからはこの課題に集中することであさらに進展をのぞめると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題でも用いる測定システムは本研究室で初めて導入されるものであるので予め考えられる問題点を洗い出す。必要に応じて熟練した他の研究者に協力を頼むことも考慮に入れている。
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Research Products
(2 results)