2013 Fiscal Year Annual Research Report
犬の肥満細胞腫におけるイマチニブ耐性化の分子病態の解明と耐性克服戦略の構築
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13J10765
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小林 正人 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013 – 2015
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Keywords | 肥満細胞腫 / イマチニブ / 耐性 / 犬 / KIT / 二次変異 / ERK |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度は、犬の肥満細胞腫におけるイマチニブ耐性化機構を解明するため、犬の肥満細胞腫株化細胞VIMCからイマチニブ1μMに耐性を示す細胞株rVIMC1およびイマチニブ10μMに耐性を示す細胞株rVIMC10をそれぞれ作製した。VIMCはイマチニブに感受性を示す変異c. 1523A>Tを有しているが、作製した耐性株において新たにc. 2443G>Cの二次変異が同定された。この二次変異を有するKITはSCF非依存性に自己リン酸化し、イマチニブ1μMではこのリン酸化を抑制することが出来なかった。以上のことから発見された二次変異はイマチニブ耐性に関与することが示された。一方、10μMのイマチニブでは変異型KITのリン酸化を抑制するが、rVIMC10は抵抗性を示す。従って、rVIMC10には二次変異以外の他の耐性機構が存在する可能性が示唆された。そこでVIMC、rVIMC1およびrVIMC10を用いてKITおよびそのシグナル伝達分子のリン酸化をウエスタンブロット法で検討したところ、rVIMC10においてKITのリン酸化に依存しないERKのリン酸化の亢進が確認された。さらにこのERKのリン酸化はSRC family kinases(SFK)inhibitorであるダサチニブでは抑制されなかったことから、ERKの異常なリン酸化はSFK非依存性であることが示された。以上の結果から、犬の肥満細胞腫におけるイマチニブ耐性化にはKITの二次変異が関連していると考えられ、さらに高濃度のイマチニブ暴露された場合にはKITおよびSFK非依存性のERKの活性化が耐性に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イマチニブ耐性化機構の解明として耐性株の作製とその耐性機構を解明することが出来た。また研究発表として国際雑誌の掲載と国内での口頭発表を行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はイマチニブ耐性克服法の検討に重きをおいて研究を行う。また平行して論文の作成を行う。
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Research Products
(2 results)