2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10800
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野元 美佳 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サリチル酸 / 植物免疫 / NPR1 / 転写因子 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
植物は環境ストレスを感知すると、一酸化窒素(NO)を生成して細胞内酸化還元状態(レドックス)の変化を誘導する。近年、細胞内酸化ストレスはタンパク質の翻訳後修飾を誘導することが示唆され、特にNOによるS-ニトロソ化は、環境応答における主要制御因子の活性調節を行うことが報告されている。これまでに申請者は、344の病害関連転写因子群に対してS-ニトロソ化感受性の有無を調査し、WRKYはレドックス応答性転写因子群であることを明らかにした。そこで平成25年度では、植物におけるレドックス認識機構の解明を目的として、NOのWRKYによる転写調節機構に与える影響を検討した。 NOは、植物ホルモンの一つであるサリチル酸(SA)の合成経路を活性化してSA応答性遺伝子発現を誘導することが報告されている。そこで、SA合成酵素であるICS1のプロモーター上に存在する6つのWRKY認識配列(W-box)と全WRKYタンパク質を用いて相互作用の有無をスクリーニングした。その結果、SAシグナルのリプレッサーとして機能するWRKY転写因子群がICS1のW-boxに結合することを明らかにし、S-ニトロソ化されたWRKYはW-box結合能が阻害されることを確認した。さらに、WRKYのDNA結合ドメイン内の保存された2つのシステイン残基がS-ニトロソ化される重要候補側鎖であると示唆されため、WRKYの候補システイン残基をアラニンに置換した組換え植物を作出中である。 一方、NOはSAシグナル伝達系の鍵転写補助因子であるNPR1の活性化にも必須であることが明らかになっている。そこで、NPR1による標的遺伝子の発現制御機構の解明も試みた。疾病防御応答時に発現誘導が認められる344転写因子に対してNPR1との相互作用の有無をin vitroで検討した結果、SAシグナルを負に制御する新奇NPR1結合転写因子を多数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
SAシグナルの鍵制御因子であるNPR1の機能を明らかにするために、独自に構築した無細胞タンパク質合成系を用いて、シロイヌナズナの転写制御因子を網羅的に合成し、NPR1の標的転写因子の同定を行った。また、NPR1と結合転写因子が直接的かどうかを検討するために、BiFCの準備を進めており、計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. WRKYのS-ニトロソ化感受性候補システイン残基をアラニンに置換した組換え植物を作出し、病原菌を接種することでその表現型を評価する。さらに、S-ニトロソ化がWRKY転写因子群のDNA結合能に与える影響を検討するために、作出した変異体にNOを処理しChIP-PCRを行う。 2. NPR1がSAシグナルのリプレッサーに与える影響を検討するために、野生型植物又はNPR1欠損変異体を背景として当該転写因子の過剰発現体を作出する。本植物にSAを処理し、経時的に採取したサンプルを用いてマイクロアレイ解析及びChIP解析を行う。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] DELLA functions as a transcriptional activator through the DNA binding of the INDETERMINATE DOMAIN family proteins2014
Author(s)
Yoshida, H., Hirano, K., Satoh, T., Mitsuda, N., Nomoto, M., Maeo, K., Kohketsu, E., Mitani, R., Kawamura, M., Is higuro, S., Tada, Y., Ohme-Takagi, M., Matsuoka, M., Ueguchi-Tanaka, M.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] DELLAタンパク質はzinc finger型転写因子の仲介により転写活性化能を発揮する2014
Author(s)
吉田英樹, 平野恒, 佐藤友美, 光田展隆, 野元美佳, 前尾健一郎, 纐纈永里子, 三谷理恵, 川村真結子, 石黒澄衛, 多田安臣, 高木優, 松岡信, 上口(田中)美弥子
Organizer
第55回日本植物生理学会年会
Place of Presentation
富山大学(富山県富山市五福)
Year and Date
20140318-20
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[Presentation] ジベレリンシグナル伝達メカニズムに関与するタンパク質の構造・機能解析2013
Author(s)
佐藤友美, 宮ノ入洋平, 武田光広, 三谷理恵, 平野恒, 竹原清日, 野元美佳, 多田安臣, 甲斐荘正恒, 松岡信, 加藤博章, 上口(田中)美弥子
Organizer
第31回日本植物細胞分子生物学会
Place of Presentation
北海道大学(北海道札幌市北区)
Year and Date
20130910-12
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[Presentation] Identification of novel NPR1-interactors in salicylic acid-dependent plant immunity2013
Author(s)
Nomoto, M., Mori, T., Oka, N., Mitamura, R., Akimitsu, K., Tada, Y.
Organizer
農学先端国際フォーラム『ファイトジーンの可能性と未来IV』
Place of Presentation
サンポートホール高松(香川県高松市)
Year and Date
2013-10-28
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[Presentation] Prediction of the core cis-regulatory elements responsible for SA-dependent gene expression2013
Author(s)
Mori, T., Nomoto, M., Tokizawa, M., Akimitsu, K., Yamamoto, Y. Y., Tada, Y.
Organizer
農学先端国際フォーラム『ファイトジーンの可能性と未来VI』
Place of Presentation
サンポートホール高松(香川県高松市)
Year and Date
2013-10-28
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[Presentation] Nitric oxide activates JAZ-mediated signaling pathway in Arabidopsis2013
Author(s)
Mitamura, R., Nomoto, M., Mori, T., Tokizawa, M., Akimitsu, K., Yamamoto, Y. Y., Tada, Y.
Organizer
農学先端国際フォーラム『ファイトジーンの可能性と未来VI』
Place of Presentation
サンポートホール高松(香川県高松市)
Year and Date
2013-10-28
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[Presentation] Comprehensive analysis on redox-sensing transcription factors in Arabidopsis2013
Author(s)
Tada, Y., Onishi, Y., Mitamura, R., Mori, T., Tominaga, M., Itay a, T., Oka, N., Nomoto, M., Uchihashi, K.
Organizer
農学先端国際フォーラムrファイトジーンの可能性と未来VI』
Place of Presentation
サンポートホール高松(香川県高松市)
Year and Date
2013-10-28
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[Presentation] Redox-based regulation of salicylic acid/jasmonate acid cross-talk in Arabidopsis2013
Author(s)
Oka, N., Nomoto, M., Spoel, S. H ., Mori, T., Uchihashi, K., Miyamoto, A., Akimitsu, K., Tada, Y.
Organizer
農学先端国際フォーラム『ファイトジーンの可能性と未来VI』
Place of Presentation
ザンポートホール高松(香川県高松市)
Year and Date
2013-10-28
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[Presentation] Identification of a novel victorin-binding protein in oats2013
Author(s)
Kaneichi, D., Shimakawa, K., Itaya, T., Oka, N., Nomoto, M., Akimitsu, K. Tada, Y
Organizer
農学先端国際フォーラム『ファイトジーンの可能性と未来VI』
Place of Presentation
サンポートホール高松(香川県高松市)
Year and Date
2013-10-28