2013 Fiscal Year Annual Research Report
脱カルボニル化を介する新規触媒的炭素-炭素結合形成反応開発による創薬への貢献
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13J10837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雄大 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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Keywords | 遷移金属触媒 / C-C結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は特別研究員DC1の申請書において、触媒デザインに基づいたケトンの配向基非依存型触媒的脱カルボニル化反応の開発を計画した。そしてその触媒デザインとして、ルイス酸と誘導基を同時に有する配位子を用いた触媒系を独自に開発することを立案した。すなわち、触媒系が①誘導基により炭素-炭素結合活性化のための金属を目的とする結合に接近させること、②ルイス酸により目的の炭素-炭素結合が減弱化すること、③ルイス酸により金属-一酸化炭素結合が減弱化することにより目的の反応が達成すると考えた。 本年度はまず上記の仮定のもと、基質としてベンゾフェノンを用いて種々検討を行った。ベンゾフェノンは芳香環の関与により、目的の炭素-炭素結合がより減弱であるということが知られている。まず、誘導基としてピラゾールの窒素上の非共有電子対、ルイス酸として三座配位で固定化されたマグネシウムや銅などのhardな金属を有する触媒系を用いて検討を行った。これまで、炭素-炭素結合活性化の報告のある様々なRh(I)やNi(0)を用いて検討を行ったが、原料回収のみで目的物を得ることができなかった。次に、ピリジンとホスフィンの二点の配位部位を有する配位子を用いて、hardルイス酸金属、炭素-炭素結合活性化を行うための金属の検討を行ったが、いずれの場合も目的物を得ることはできなかった。 上記のケトンの配向基非依存型触媒的脱カルボニル化反応を達成するには、①炭素-炭素結合を活性化すること、②一酸化炭素を脱離させることの二点が課題である。そこで、①の課題を克服すべく、ケトン隣接の炭素-炭素結合活性化による配向基非依存型触媒的カルボアシレーション反応の検討を行った。触媒系としては上記した触媒系を適用し、挿入する官能基としてアルケン、アルキンでの検討を行った。しかしながら、分子間反応、分子内反応いずれの場合も目的物を得ることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
炭素ー炭素結合活性化は炭素ー水素活性化より、立体障害が大きく、結合活性化を行う金属との軌道の重なりが悪く、予想以上に活性化を行うのが困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の検討から、ケトンの配向基非依存型触媒的脱カルボニル化反応は現段階では非常に困難であり、類似の金属反応の知見を集めることが先決であると考えた。炭素-水素結合活性化は、①立体障害が少ない、②結合活性化を行う金属との軌道の重なりが良いという理由から、炭素-炭素結合活性化よりも容易であるために、金属反応の知見を得るには最適であると考えられる。そこで、今後炭素-水素結合活性化による炭素-炭素結合形成反応の検討を行う予定である。具体的には当研究室で開発された高原子価コバルト触媒を用いた新規炭素-炭素結合形成反応の開発を行う予定である。
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