2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10846
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神山 美樹 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ASK1 / 癌転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、当研究室で同定された分子のASK1が、癌転移のどの段階に関与するのか、またどの細胞種において癌転移に寄与するのかを解明することである。私は採用以前の研究において、ASK1の欠損が癌転移を低下させること、及びASK1はがん細胞が血管内から血管外遊出して増殖するまでの、癌転移の段階の中でも比較的早いSeeding過程に関与することを明らかにしていた。採用第1年度である今年度は、(1) ASK1が癌転移のSeeding過程に関連するどの細胞種において機能するか、また(2) ASK1がSeeding過程以外の段階、即ち血管外遊出や転移巣形成(癌細胞の増殖過程)に関与するかを検証した。(1)については、骨髄由来の細胞種におけるASK1が癌転移に関与するかを骨髄キメラマウスを用いて検証し、骨髄由来の細胞種でASK1を欠損させると癌転移が減弱したことから、骨髄由来の細胞種におけるASK1の癌転移への関与が示唆された。また、骨髄由来の細胞種の中でも単球、マクロファージ及び顆粒球特異的なASK1欠損マウス(以下LysMマウス)で有意な癌転移の減弱が観察されなかったことから、単球、マクロファージ及び顆粒球におけるASK1が癌転移に与える影響は小さいと考えられた。よって、骨髄キメラマウスにおいて置換され得る骨髄由来の細胞種の中で、LysMマウスではASK1が欠損しない細胞種である、血小板、T細胞、B細胞とNK細胞におけるASK1が癌転移に関与すると考えられる。(2)については、がん細胞の肺への同所性移植、及び背部への皮下移植の結果から、ASK1が転移巣形成に与える影響は小さいと考えられた。 以上より、ASK1が癌転移に関与する細胞種及び段階を、マウスを用いた複数の実験系における結果から細胞種を絞り込んでおり、研究の目的を達成しつつあると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第1年度から第2年度にわたって計画していた骨髄キメラマウスや単球、マクロファージ及び顆粒球特異的なコンディショナルノックアウトマウスの作製が順調に進んだこともあり、それらを用いた複数の実験系における結果から癌転移に関与する細胞種を絞り込むことができた。さらに追加で、血小板特異的なコンディショナルノックアウトマウスの作製を開始させている。他にも、ASK1の欠損によって血小板の機能が低下していることを示唆する複数の実験結果を得ており、第1年度である今年度は当初の計画以上に進展していると言って差し支えない。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、血小板特異的なコンディショナルノックアウトマウスを作製して表現型の解析を行う。これらに加え、当初計画していた、DNAマイクロアレイを用いて発現遺伝子の変動や、フローサイトメトリーを用いて免疫系におけるASK1の癌転移への関与を解析することで、癌転移におけるASK1のさらなる機能解析を進める。第3年度に計画している、ASK1阻害による癌転移の抑制効果の検討に向けて、その評価系を立ち上げる必要があるため、今後順次系の構築に取り組む。
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Research Products
(7 results)