2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10846
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神山 美樹 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌転移 / ASK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は採用以前の研究において、ストレス応答性シグナル伝達経路の1つであるMitogen-activated protein kinase (MAPK)経路の上流に位置するMAPKKKの1つで、当研究室で同定されたApoptosis Signal-regulating kinase 1 (ASK1)の欠損が癌転移を低下させること、及びASK1はがん細胞が血管内から血管外遊出して増殖するまでの、癌転移の段階の中でも比較的早いSeeding過程に関与することを明らかにしていた。さらに採用第1年度目では、貴会採用時に提出した研究計画に則り、(a) 骨髄由来の細胞種におけるASK1が癌転移に関与すること、また (b)単球、マクロファージ及び顆粒球におけるASK1は癌転移に与える影響は小さいこと、および (c) ASK1が転移巣形成 (癌細胞の増殖過程)に与える影響は小さいこと、を明らかにした。採用第2年度目の今年度は第1年度目に引き続き、ASK1が癌転移のSeeding過程に関連するどの細胞種において機能するか、を明らかにすることを目的とし、解析を進めた。 ASK1が癌転移に関与する細胞種の特定については、第1年度目の研究成果を踏まえてマウスを用いた複数の実験系における結果から、確かにASK1が欠損した血小板は機能が低下していることを明らかにしており、追加で作製した血小板特異的なコンディショナルノックアウトマウスのin vivoにおける表現型を解析している最中である。他にも私は、がん転移への関与が知られる血管内皮細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスの作製を開始し、その表現型を近く解析予定である。今年度中の学会誌などへの研究発表はなかったものの、次年度初旬を目処とした論文投稿に向けて多角的な視点からの評価や指摘を得るため、積極的に学会へ参加して発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私は貴会特別研究員申請時に提出した研究計画に基づいて、第1年度に引き続き精力的に実験に取り組んだ。その結果第2年度目に計画していた以上に研究を進展させ、第3年度に予定していた新たなコンディショナルノックアウトマウスの作製を既に開始している。第1年度目の研究成果を踏まえてマウスを用いた複数の実験系における結果から、確かにASK1が欠損した血小板は機能が低下していることを明らかにしており、追加で作製した血小板特異的なコンディショナルノックアウトマウスのin vivoにおける表現型を解析している最中である。他にも、がん転移への関与が知られる血管内皮細胞特異的なコンディショナルノックアウトマウスの作製を開始し、その表現型を近く解析予定である。この解析の結果次第でさらに新たな実験系を組むことも可能であり、当初予定していた以上にインパクトの大きい論文として報告できる可能性が高いため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPf4-cre/+; ASK1F/F マウスにおいて肺転移の減弱が観察されるかを検証するとともに、がん転移のSeeding過程に関与することが知られる血管内皮細胞におけるASK1の寄与を検証すべく、作製を開始した血管内皮細胞特異的なASK1のコンディショナルノックアウトマウスの癌転移における表現型を解析する予定である。また、がん細胞の血管外遊出過程におけるASK1の関与についてはまだ検証できていないので、in vitroでのtransendothelial migration実験やex vivoの実験系などを用いて解析したい。また肺へ遊走してくる免疫系細胞種の関与についても検証すべく、flow cytometryを用いた実験系の構築に取り組む予定である。
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Research Products
(6 results)