2013 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンの調節下にある骨格筋形成における大豆イソフラボンの機能の解明
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13J10847
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小川 真弘 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 骨格筋組織 / 女性ホルモン / 脱ユビキチン化酵素 / 大豆イソフラボン / エストロゲン受容体 / 性差 |
Research Abstract |
女性は男性よりも骨格筋量が少ないことから、基礎代謝量が低く、また高齢期での転倒リスクが高い。男女間の性差を引き起こす要因として性ホルモンが挙げられ、男性ホルモンは骨格筋を量的そして質的に亢進する。一方で、女性ホルモン(エストロゲン)の骨格筋における役割は不明である。まず、骨格筋量の性差におけるUSP19の関与を検証した。siRNAを用いてオスマウスとメスマウスの骨格筋のUSP19の発現をノックダウンすることによって、メスマウスのヒラメ筋の重量が増加するが、オスマウスの骨格筋には影響がないことを明らかにした。さらにERαによるUSP19の発現制御機構を検証した。USP19のプロモーター領域の遺伝子を単離してルシフェラーゼレポーター解析系を構築し、E2に応答してERαが結合するEREを同定した。メスマウスの骨格筋ではERαがEREに結合していたが、オスマウスではERαはEREに結合していなかった。以上の結果から、メスマウスではERαの恒常的な活性化によってUSP19の発現が亢進しており、その結果として骨格筋量が負に制御されることを示した。続いて、骨格筋量の調節におけるERβアゴニストとERβの役割について評価した。C2Cl2細胞において植物エストロゲンであるダイゼインがERαに比べてERβの転写活性を促進し、さらにダイゼインがERβ選択的アゴニストと同様に、E2によるUSP19の発現上昇と筋分化抑制作用を阻害することを明らかにした。またUSPl9遺伝子のERE上では、E2によって増加したERαレベルがERβ選択的アゴニストまたはダイゼインによって低下した。以上の結果から、ERβを活性化することによって、E2による筋分化抑制が阻害されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在の状況から、概ね予定通りの研究進捗であると思われる。これまでの研究結果より、メスマウスの骨格筋では、E2はERαを介して筋分化抑制に寄与するUSP19の発現を上昇させて筋量を減少させること、さらにダイゼインのようなERβアゴニストによってERβを活性化させることがE2によるUSP19の発現上昇を抑制して筋量を増加させること、を明らかにしている。以上の結果は当初の計画の通り、USP19は骨格筋量の性差に関与する鍵因子であり、女性にとってERβの活性化がUSP19の発現を減少させ、骨格量を増加させることに寄与することが示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大豆イソフラボンであるダイゼインの骨格筋に対する作用についての世代差について検討していく予定である。
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Research Products
(7 results)