2014 Fiscal Year Annual Research Report
PIPsシグナルにおけるホスファチジルイノシトール脂肪酸鎖の生物学的意義の解明
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13J10893
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 卓也 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ホスファチジルイノシトール / LPIAT1 / ホスホイノシタイド |
Outline of Annual Research Achievements |
アラキドン酸は哺乳動物の細胞中に多く存在する高度不飽和脂肪酸の一つであり、その多くは生体内においてリン脂質に結合した状態で存在している。ホスファチジルイノシトール(PI)は、主要なリン脂質の一つであり、特徴的な脂肪酸組成を有している。すなわち、他のリン脂質が多様な脂肪酸鎖を結合しているのに対して、PIにはアラキドン酸が結合されているものが圧倒的に多いという特徴がある。またPIはその極性頭部がリン酸化されたホスホイノシタイド(PIPs)の形で細胞内シグナリング経路を制御している事が知られている。本研究ではPIの特徴的脂肪酸鎖がPIPsシグナリングにおいてどのような意義があるかを明らかにすることを目指している。 これまで当研究室においてPIへアラキドン酸を導入する酵素としてLPIAT1を同定している。さらにこれまでの研究からLPIAT1欠損マウスにおいて神経細胞移動の異常や細胞死が生じ、脳の形態異常を来すことを見出しており、PIあるいはPIPs中のアラキドン酸が脳の形態形成に重要な機能を果たしていることが明らかしてきた。 本年度では、研究計画に従いLPIAT1コンディショナル欠損マウスを用いた成体におけるLPIAT1欠損マウスの解析を開始した。その結果、LPIAT1欠損により、肝臓での異常な脂質蓄積が生じることを新たに見出した。これまでに報告からPIPsシグナリングと脂質代謝の関連が示唆されており、このシグナリングにおける脂肪酸鎖の寄与についてさらに検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従いLPIAT1コンディショナル欠損マウスの解析を行い、新たな表現型を見出しており、分子機構の解析を進めていることからおおむね順調と言える。PIPsシグナリングとの関連については今後さらに詳細な解析を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、LPIAT1コンディショナル欠損マウスを行いたい。また培養細胞を用いた実験を行い、PIの脂肪酸鎖のPIPsシグナリングの作用のメカニズムの解明を目指したい。
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Research Products
(3 results)