2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
巳上 幸一郎 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 芳香族 / 近赤外 / キラル / DFT / ホウ素 / フタロシアニン / カチオン |
Research Abstract |
1 : モデル化合物とヘミポルフィラジンの酸化還元挙動 モデル化合物の合成およびその理論解析に着手しました。購入可能なジイミノイソインドリンとインダミンユニットをエタノール中で還流すると、反応はほぼ定量的に進行し、目的とする大環状化合物が得られました。この単結晶を作成してX線構造解析を行ったところ、目的とする大環状化合物が得られている事がわかりました。また、この化合物の酸化還元挙動を二酸化マンガンを用いて検討したところ、DMF中では30пでクロロホルム中では28пと思われる化学変換が観測されました。単結晶で得られた構造を初期構造として理論解析を行った結果、芳香族性の指標となるNICS (0)の値は+1.65であったのに対して、酸化後は-11.62を示しました。それらの分子軌道を解析すると酸化前は32π電子系であったのに対して酸化後は30π電子系である事が示されました。さらに30π電子系のTDDFT計算は可視領域から近赤外領域にかけて幅広い吸収を有している事を示しました。これは酸化還元反応で見られている挙動と良い一致を示しています。 2 : DFT計算を用いた電子状態・反応経路解析 ボレニウムカチオンは価電子数が4つの電子欠損化学種であり、これまで単離された例はありませんでした。本年度はボレニウムカチオンの電子状態とCO_2との反応の理論解析を行いました。その結果、中心のホウ素は二つのメシチル基からπ電子の供与を受けることで大きな安定化効果を得た結果、キノイド様式の構造をとっていることがわかりました。また、CO_2からのO引き抜き反応はホウ素中心へのCO_2の配位(CP1)から始まり、四員環中間体(CP2)を経由して進行することが示唆されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単結晶を作成でき、そのX線構造解析から目的の構造が得られていることがわかった。その酸化還元挙動も理論計算とほぼ近い様子をしめしているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は溶解性の高いヘミポルフィラジンを作成し、その酸化還元挙動を探り、その酸化種の単結晶化を試みる。本方針が拡張型ヘミポルフィラジンを作成する上で有用な手法であることと示すために、他のジアミン種でも合成し、酸化還元を試みる。また、電解吸収スペクトルによりその詳細をさらに検討する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Helicity Induction on Three π-Conjugated Chromophores by Planar Chirality of Calixamide2013
Author(s)
Ryohei, Yamakado, Koichiro Mikami, Koji Takagi, Isao Azumaya, Shinri Sugimoto, Shin-ichi Matsuoka, Masato Suzuki, Kosuke Katagiri, Masanobu Uchiyama, Atsuya Muranaka
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Journal Title
Chem. Eur. -J.
Volume: 19
Pages: 11853-11857
Peer Reviewed
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