2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J10936
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 尚憲 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ホスファチジルセリン / リサイクリングエンドソーム / 細胞内膜輸送 / Flippase |
Research Abstract |
本研究の目的は、リン脂質の1種ホスファチジルセリン(PS)が細胞内小器官の1種リサイクリングエンドソーム(REs)の細胞質側の膜に豊富に局在する分子基盤を明らかにすることである。 私は修士課程において、flippase family の一つ(ここではXと呼称する)がREsに局在することを見出していた。そこでまず博士課程では、このFlippaseの機能阻害により、REs膜上のPSの配向性がどのように変化しているのかをPS可視化プローブ等を用いて解析した。その結果、通常は非常に少ないREsの内腔側のPSの量がflippase XのRNAiによって著しく増加するということを見出した。この結果は、flippase XがREsにおいてPSを細胞質側へと局在変化させる分子本体であることを強く示唆する。私は修士課程において、鉄輸送タンパク質TfnのREsから細胞膜への輸送がflippase XのRNAiにより著しく遅延すること、さらに、この輸送の遅延がflippase Xの活性依存的にレスキューされることを見出していた。すなわち、flippase Xが細胞膜側へとPSを動かすことがREsから細胞膜への物質の輸送に必要であると示唆されたが、PSと、REsからの輸送とをリンクさせる分子基盤は不明であった。そこで私は、PSに結合することが当研究室により示されていたEというタンパク質に着目した。その結果、flippase XのRNAiによりEのREsへの局在が失われること、およびEのRNAiによってもXのRNAiと同様にTfnのREsからの輸送が遅延することを見出した。さらに、Eをexogenousに過剰発現させることで、XのRNAiによるREsからの輸送異常を部分的にレスキューできることも見出している。すなわちこれらの結果は、Eが膜切断分子ダイナミンに類似したタンパク質であることも鑑みて、Xが細胞膜側へと動かしたPSによってEがREsへとリクルートされ、続いてEがREsで膜を切断することでREsからの分子の「出発」を起こす、という分子基盤の存在を強く示唆する。以上が博士課程1年次の研究成果である。次の1年間では、上記の分子基盤が持つ生理学的な意義を解明することを目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内小器官の一つリサイクリングエンドソームにおいて、ホスファチジルセリンを細胞質側への膜へと局在化させるのに必要な遺伝子の同定に成功したから。
|
Strategy for Future Research Activity |
同定した遺伝子Xが、ホスファチジルセリンを局在化させることが、生理的にどのような意義を持つのか、その解明をマウスを用いた研究により目指す。 また、遺伝子X以外にも、ホスファチジルセリンを局在化させるのに働いている遺伝子が存在するか、引き続き解析を進める。
|
Research Products
(1 results)