2013 Fiscal Year Annual Research Report
旧制中等諸学校における音楽教育の展開 -楽器産業とのかかわりに着目して-
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13J10957
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古仲 素子 東京大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 音楽教育 / 楽器産業 / 校友会 / 課外活動 |
Research Abstract |
本年度の研究実施状況としては、第一に、国会図書館等で戦前の楽器メーカーが発行していた雑誌や教則本および、諸外国の楽器製造技術や音楽教育に関する文献の収集を行ったほか、全国各地で、戦前の旧制中学校・高等女学校によって発行されていた校友会雑誌および学校一覧や学校史、府県立図書館での地方新聞の収集を行った。 第二に、上記で収集した史料の分析および、近現代史にかかわる文献の読解を通して、以下のような研究成果を得た。まず、ハーモニカなどの安価な楽器や蓄音機が普及する時期の前史として、1900年代から1910年代における旧制中学校の音楽教育について、東京府立第三中学校の学友会音楽部の事例を中心に検討した。唱歌教員を置いていたごく一部の中学校では、1900年頃から校友会に音楽部が創設されていたこと、そこでは唱歌教員の指導のもと, 歌唱のほかに器楽など, 唱歌科の枠を超えた生徒による多様な音楽活動が行われていたことが明らかになった。次に、日本楽器製造株式会社とトンボ・ハーモニカ製作所によるハーモニカの普及活動および、山梨県立甲府中学校の校友会音楽部の事例を手掛かりとしながら、1920年代のハーモニカの普及とその背景にあった楽器メーカーの動き、そして、それらと旧制中学校の音楽活動とのかかわりについて検討した。これまで唱歌教育を中心として検討が行われてきた学校音楽教育の歴史を、生徒たちの活動および当時の産業・文化との関連から捉え直すことで、演奏技術や表現方法に対する生徒自身の工夫や、ハーモニカ音楽を媒介とした学校・地域間の交流のように、近代国家と学校制度の枠組みだけでは捉えきれない側面が数多く存在していたことが明らかになった。第三に、研究対象である戦前における校友会の部の活動について、よりマクロな視点から捉えるために、1920年代の中等教育の課外活動に関する議論について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、音楽教育に関わる制度的史料および楽器産業に関する史料、全国各地の様々な学校の音楽教育の記録を収集・分析が順調に進んだほか、その成果を「1900年代~1910年代における旧制中学校の音楽教育―東京府立第三中学校学友会音楽部の活動に着目して―」(日本音楽教育学会、採択済)に論文としてまとめることができた。さらに、研究対象である戦前における校友会の部の活動について、「1920年代における中等教育の課外活動に関する議論―校友会活動を中心に―」(日本教育学会)をテーマに学会発表を行った。このように、当初の計画以上の研究の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の課題としては、継統しての史料収集・分析作業に加え、当時の学校内の様子や音楽教育の状況をより詳細に明らかにするために、調査対象校の同窓会を経由し、音楽部に所属していた生徒へのインタビューを行うことを計画している。さらに、本年度で得た旧制中学校に関する研究成果をふまえながら、高等女学校における音楽活動にも検討対象を広げていきたいと考えている。そして、旧制中等諸学校における音楽教育の展開と楽器産業とのかかわりに関する研究を総括し、博士論文の執筆を行う。
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Research Products
(2 results)