2013 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍微小環境に着目したヒト膵臓がんの悪性化に関わる重要因子の探索
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13J10991
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 恵生 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒト膵臓がん / in vivoイメージング / 同所性移植 |
Research Abstract |
1. ヒト膵臓がんの同所性移植モデルの確立 本研究は腫瘍微小環境におけるがん細胞と間質との相互作用に着目し、膵臓がんの進展への重要因子の探索を行うことを目的としている。そこで用いる実験系として、一般に広く用いられている宿主皮下組織へのがん細胞の異所性移植ではなく、宿主膵臓へ直接がん細胞を移植する同所性移植が適切であると考えた。技術的な改善を重ねた結果、複数のヒト膵臓がん細胞において、ヌードマウスの膵臓への同所性移植モデルを確立した。皮下への異所性移植と比較して、同所性移植の方が原発巣の増殖および肝転移や腹膜播種が促進されることが観察された。 2. In vivo イメージングシステムの確立 皮下への異所性移植と異なり、膵臓への同所性移植では腹腔内で腫瘍が形成されるため、がんの進展を観察および定量化することが困難である。そこで蛍の遺伝子であるルシフェラーゼを恒常的に安定発現させたがん細胞を作製し、腹腔内でもがんの進展を可視化可能なin vivoイメージングシステムを確立した。これにより同一マウス個体における原発巣の大きさの経時的な変化に加え、肝転移や腹膜播種の様子などを観察可能となった。 3. 悪性度の高い細胞株(高悪性株)の樹立 In vitroで培養するがん細胞と比較して、マウス膵臓もしくは転移先臓器で微小環境と相互作用したがん細胞はより高い悪性度を獲得していると推測される。そこで上記した同所性移植モデルから原発巣および転移巣からがん細胞を単離し、より悪性度が高いと考えられるがん細胞株(高悪性株)の樹立を試みた。現時点で複数のヒト膵臓がん細胞株からの高悪性株の樹立に成功している。今後これら高悪性株を用いて重要因子の探索を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はヒト膵臓がんのヌードマウスへの同所性移植やin vivoイメージングシステムなど実験系の確立に時間を要すると考えていたが、昨年度内にそれら実験系の確立に成功した。これらを用いた高悪性株の樹立およびその解析も順調である。用いた複数の膵臓がん細胞株の内、一部進行が遅れているものもあるが、今後の実験はペースアップ可能であるため問題ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
悪性度の高い細胞の樹立、in vitro およびin vivo での悪性度の評価が終わり次第網羅的な遺伝子解析を行う予定である。今後、網羅的な遺伝子解析の結果から得られた因子についてさらに解析を行い、膵臓がんの悪性化進展でのその重要性を評価する予定である。
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Research Products
(7 results)