2013 Fiscal Year Annual Research Report
球形パラメトリックスピーカを用いた次世代音像再生デバイスの開発
Project/Area Number |
13J11040
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
生藤 大典 立命館大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パラメトリックスピーカ / 復調評価指標 / 重み付きDSB帯変調方式 / 曲面型パラメトリックスピーカ |
Research Abstract |
本年度では, パラメトリックスピーカの品質評価のための指標策定および品質改善手法に関して研究を実施した. また, 本研究で開発する球形パラメトリックスピーカの試作機の製作に取り組むと同時に, 音環境の快適化に関する研究にも取り組んだ. それぞれの具体的な成果については以下の通りである. 1. パラメトリックスピーカの品質評価指標の策定と品質改善手法の確立 本研究ではあらゆる環境において, 快適な音環境を提供するシステムの開発を目指しており, 安定した性能を維持するためにはパラメトリックスピーカの頑健な品質評価が要求される. そのため本年度では, パラメトリックスピーカの再生原理と周波数特性に着目した評価指標を提案した. そして, 評価実験より策定指標の有効性を確認した. この研究成果は国内・国際会議で発表しており, 次年度ではこれらの機会で得たアドバイスを参考に本研究をさらに発展させる予定である. さらに策定指標より, パラメトリックスピーカの品質はその周波数特性に大きく依ることを確認した. 従って, パラメトリックスピーカの品質改善には目的音の周波数特性を再現することが重要である. そこで本年度では, 目的音の周波数特性を高精度に再現するための研究にも取り組んだ. 具体的には, 入力信号となる振幅変調波の新たな生成手法を提案し, 客観, 主観評価実験を通して, 提案手法の有効性を確認した. これらの研究成果についても, 国際会議で発表しており, 頂いた貴重な意見を参考に更なる改善手法を検討する予定である. 2. 試作機の製作と音環境の快適化 本年度では1の研究成果に加え, 超音波素子の配置方法と移動音像の構築手法を検討するための試作機の製作にも前倒しで取り組んだ. 評価実験の結果, 試作機を用いることで移動音像を構築できることを確認した. また, 快適な音環境を提供するための騒音対策手法に関する研究にも取り組んだ. これらの研究成果は, 国内, 国際会議で発表しており, 学術論文にも1件採録された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では, 主にパラメトリックスピーカの評価指標の策定と品質改善に取り組み, 気温や湿度などに着目した詳細な評価はできていないものの, 防音室のような実験的空間だけでなく, オフィス環境のような一般的な空間においても有効な手法を確立した. さらに, 次年度の研究目標に先駆けて, 試作機の製作も行った. そして, 成果として13.に示すように学会誌論文1件を含め計7件の研究発表を第1著者として国内外で行った. これらの理由から上記の区分が妥当であると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終目標である球形パラメトリックスピーカを開発するために, 最適な超音波素子の配列方法と制御手法を確立する必要がある. 従って次年度は, 超音波素子の配置方法に関して, 様々な条件に基づく試作機を製作し, その音響的特徴の計測を繰り返しながら, 最適な形状と配置方法を検討する必要がある. また, 3次元音場再生において課題とされている移動音像の構築手法に関しても有効な手法を確立する必要があり, 試作機の評価と並行して研究を推進する計画である. そして, 本年度で確立した品質改善手法を統合することで, 快適な音環境を提供するシステムの基礎を構築する予定である. なお, 最終年度では, このシステムの評価, 改善を繰り返しつつ, 学会やシンポジウムへの展示と社会運用を目指す計画である.
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Research Products
(8 results)