2014 Fiscal Year Annual Research Report
球形パラメトリックスピーカを用いた次世代音像再生デバイスの開発
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13J11040
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
生藤 大典 立命館大学, 情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パラメトリックスピーカ / 指向特性 / 曲面型パラメトリックスピーカ / 球形パラメトリックスピーカ / 移動音像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,パラメトリックスピーカの指向特性と放射方向の制御手法,および球形パラメトリックスピーカによる3次元音場と移動音像の構築に関して研究を実施した.具体的な成果については以下の通りである. 1.パラメトリックスピーカの指向性と放射方向の制御手法の確立 本研究では,球面状に配置した超音波素子を独立に制御することで,複数の受聴者に対して独立した音場を提供するデバイスの開発を目指しており,再生領域の自由な制御のためには最適な超音波素子の配列と制御手法が必要となる.そのため本年度では,まず曲面状に超音波素子を配置し,それぞれの素子を独立に制御できる試作機の開発およびその制御手法を提案した.そして評価実験より,素子を切り替えて使用することで放射方向を連続的に制御可能であるともに,曲面の曲率を制御することでその指向性を自由に制御できることを確認した.さらに,最終的な研究目標である球形パラメトリックスピーカの開発に向けて,前年度で試作した擬似球形パラメトリックスピーカによる指向性と放射方向の制御手法を提案した.この研究成果は国内・国際会議で発表しており,次年度ではこれらの機会で得たアドバイスを参考に本研究を完成させる予定である. 2.球形パラメトリックスピーカによる3次元音場と移動音像の構築 本年度では,1の研究成果に基づいて,擬似球形パラメトリックスピーカによる3次元音場および移動音像の構築手法を提案した.具体的には,人が音場または移動音源を知覚する際に手掛かりとする音響情報を予備実験により明らかにした上で,その音響情報を制御しながら受聴者に放射する手法を提案した.そして,客観・主観評価実験を通して,提案手法の有効性を確認した.この研究成果についても,国内・国際会議で発表しており,次年度では頂いた貴重な意見を参考に本手法における音場制御手法を改善する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,主に超音波素子の配置方法の最適化と制御手法の確立に取り組み,複数人に対して有効な手法は確立できていないものの,室内の1人に対しては高い音像定位感と移動感を提示できる手法を確立した.さらに,次年度の研究計画に先駆けて,実環境における音場の再現手法も提案しておりあらゆるコンテンツを提供可能となった.そして,成果として,13.に示すような国際会議での発表3件を含め計8件の研究発表を第1著者として国内外で行った.以上の理由から上記の区分が妥当であると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では複数人に対して,独立した音場の提供とその制御手法が必要である.従って次年度では,本年度で提案した手法を,空間の1点における音場だけでなく,あらゆる点における音場を制御できる手法に発展させなえればならない.そのために,まず複数のマイクロホンを用いて,空間全体の音場を把握するための手法を検討し,その上で,適応信号処理に基づいてあらゆる点における音場を最適化する手法を提案する予定である.そして,本年度で試作した擬似球形パラメトリックスピーカに上記提案手法を実装する.なお,本研究の最終年度となる次年度では,学会やシンポジウムへの展示を通してシステム全体の評価と改善を繰り返しながら,社会運用を目指して本研究の最終目標である音像再生デバイスを完成させる計画である.
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Research Products
(9 results)