2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子ドープグラフェンナノリボンの合成法の開発・物性測定
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13J11059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 真葵 京都大学, エネルギー理工学研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グラフェンナノリボン / ボトムアップ / 化学気相成長法 / 走査型トンネル顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンナノリボン(GNR)は幅が数ナノメートル以下の縮環導電性高分子であり、その特異的な高移動度を示す性質により太陽電池やトランジスタなどの高性能デバイスへの応用が期待されている。GNRのバンドギャップはその幅とエッジの形状に依存するため、幅とそのエッジの均一性を制御できるボトムアップ型の手法によるGNRの作製を行う必要がある。しかしボトムアップGNRの合成例は超高真空環境における蒸着重合法など少数の報告例はあるものの、未だに大量合成の有効な手法の確立には至っていない。 所属研究室では、従来の合成法にはない低真空下で、かつ大量合成可能な新規ボトムアップ的GNR合成法(2-zoneラジカル重合型化学気相成長法:2zone RP-CVD)を開発した。本手法を用い幅の異なる3種類(テトラセン幅、アントラセン幅、ナフタレン幅)の極細線GNRの合成に成功した。 また2-zone RP-CVDを用いることで、これまで報告例のない側鎖を持たないアセン軸を有するGNRの合成法を開発し、その物性の探索を行った。適切なモノマーを設計、合成し、2zone RP-CVDを用いて、側鎖を持たないアセン骨格を持つGNRを金基板上に合成することに初めて成功した。さらに、そのモノマーの構造を応用することで2種類の分子幅を作り分けることにも成功した。合成した2種類のGNRをトンネル顕微鏡(STM)により直接観察した結果、CVD法によって合成されたこれまでのGNRと比べ非常に配向性よく生成していることが分かった。走査トンネル分光及び光吸収スペクトルから合成した2種類のGNRのバンドギャップを測定し、、このタイプのGNRもこれまで報告されているアームチェア型GNRと同様にバンドギャップを持ち、その分子幅によってバンドギャップが変化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヘテロ原子ドープグラフェンナノリボンの合成に向け、予定ではグラフェンナノリボンの合成を終わらせているとしているが、原料モノマーの合成段階であるためやや遅れているとした。昨年度予定していた分子では反応が進行しないことが判明していたが、本年度その分子設計を改善し、基本骨格の確立できたため今後計画内容に従って実験を進められると考えらる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、ヘテロ原子ドープグラフェンナノリボンの合成に用いるモノマー分子の基本骨格を確立できた。現在、基本骨格にヘテロ原子を導入したモノマーを合成しており、合成でき次第2-zone RP-CVDによるグラフェンナノリボン化の検討を行う予定である。研究課題の推進方策において大きな計画の変更はない。
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Research Products
(8 results)