2014 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子に注目した樹状細胞による抗腫瘍免疫分子機構の解明
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13J11090
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小泉 真一 横浜市立大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写因子 / 抗腫瘍免疫 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD8陽性DCは効率良く生体内でクロスプレゼンテーションを行うことができる唯一の古典的樹状細胞サブセットであり、抗腫瘍免疫応答の中枢を担うことが知られている。転写因子IRF8はこの樹状細胞の分化に重要な役割を果たしていることが、ヒトおよびマウスの研究でわかっている。また、慢性骨髄性白血病患者においては、がん遺伝子BCR-ABLがIRF8遺伝子の発現を抑制し、樹状細胞分化を抑制していることが知られている。従って、IRF8遺伝子の発現制御機構は、抗腫瘍免疫応答の制御、あるいは慢性骨髄性白血病の新規治療法の開発に非常に重要である。 本年度はこのIRF8発現がどのように抑制されているかを理解するために、独自に樹立した樹状細胞前駆細胞株用いて、様々な角度からIRF8の発現制御機構の解析を行った。 その結果、ChIP-seq解析により、今まで知られていなかった新規の巨大なエンハンサー領域を同定した。興味深いことに、このエンハンサーの形成はBCR-ABLの導入により著しく抑制された。また、レポーターアッセイにより、細分化したエンハンサーどの領域がIRF8の発現を制御しているかを解析したところ、複数の領域にその活性が見出された。さらに、転写因子PU.1のChIP-seq解析結果から、このエンハンサーを制御している可能性がある転写因子が複数同定された。 上記に加え、今年度はヒストンおよび転写因子のChIP-seqに加え、マイクロアレイ、プロテオミクス、レポーターアッセイなどにより今後につながるデータを大量に得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IRF8により誘導され、抗腫瘍免疫応答を制御する分子の同定に関しては研究が停滞してしまったものの、IRF8自体の発現制御機構の解析に非常に大きな進展があった。それに加え、さまざまな実験手法によりデータが着実に蓄積されており、今後の飛躍的な研究の進展が期待される状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに蓄積された樹状細胞前駆細胞におけるChIP-seq,マイクロアレイ、プロテオミクス、レポーターアッセイのデータを統合的に解析し、IRF8の発現制御機構を明らかにしていく。特にバイオインフォマティクスをふんだんに取り入れて解析を行い、仮説を立て、それを実験的に証明して行く予定である。
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Research Products
(1 results)