2013 Fiscal Year Annual Research Report
カチオン性ナノバブルとキャビテーションを利用した新規バイオフィルム除去法の開発
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13J11146
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
菅野 真莉加 昭和大学, 歯学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | デンタルバイオフィルム / ナノバブル / 超音波 / キャビテーション |
Research Abstract |
深い歯周ポケット内や根分岐部などの"狭く""深い"部位に形成されたバイオフィルムを効率的に除去することは、歯周病の予防・治療・再発防止のために非常に重要な戦略である。本研究では、超音波によるキャビテーション現象を応用した非接触型の新しいバイオフィルム除去法の開発を目指す。 初年度にあたる本年はまず、キャビテーション効果を増強させるためのカチオン性ナノバブルの開発に着手した。カチオン性ナノバブルは負電荷を示すバイオフィルムに対して静電的親和性を有し、バイオフィルム近傍でより効率的にキャビテーションを誘導する事が可能であると考えられる。 カチオン性脂質であるDSDAPを用いて逆相蒸発法にてリポソームを調製し、その物性を評価した。緩衝液の種類および構成脂質の含有比率について検討を重ねた結果、平均粒径180nm、+10~20mVのζ電位を示すカチオン性リポソームを調製することができた。このリポソームにパーフルオロプロパンを内封してカチオン性ナノバブルとし、ガスの保持能について検討したところ、中性ナノバブルに比べてガスの保持能が短い傾向が見られた。次に、生体分子相互作用解析装置(Biacore)を用いて、負電荷表面およびStoreptococcus mutans (S. mutans)バイオフィルム表面とカチオン性リポソームとの相互作用を解析したところ、中性リポソームに比べていずれの表面においてもResponse Unit (RU)の上昇が認められた。また、蛍光標識させたリポソーム溶液をS. mutansバイオフィルムに添加し、共焦点レーザー顕微鏡を用いてバイオフィルムに対するカチオン性リポソームの挙動を評価したところ、カチオン性リポソームを示す赤色蛍光がバイオフィルム表面および内部で強発現している様子が観察され、カチオン性リポソームとバイオフィルムとの静電的相互作用の増強効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
適当なナノバブルの調製方法の検討とその評価に予想以上の時間を要したため。特に、調製に使用する緩衝液の種類やリポソームの構成脂質の選択および含有比については、度重なる試行錯誤が必要であった。また、その後の評価方法についても、当初想定していた手法では測定できない場合があり、代替法の検討と新たなプロトコールの確立のために当初の計画通りの進展は達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は静電的相互作用解析のプロトコールを確立するために安定して供給可能なリポソームを用いて基礎的検討を行ったが、今後はナノバブルを用いて同様の解析を行う。その際、ナノバブルの安定性を向上させるために構成脂質や含有比を変えるなど調製方法の改良をさらに進めるとともに、実際に超音波を照射してキャビテーション誘導能について評価する。また、ヒト口腔上皮細胞に対する生体適合性と障害性を評価し、超音波照射条件について最適化を行う。
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Research Products
(1 results)