2013 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光学波長変換を用いたコヒーレント・テラヘルツ波発生および検出に関する研究
Project/Area Number |
13J30003
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
瀧田 佑馬 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 特別研究員(PD)
|
Keywords | テラヘルツ波 / 非線形光学波長変換 / 高強度 / 単色 / 波長可変 |
Research Abstract |
本研究は, 受入研究チームにおいて独自の発展を遂げてきた, 非線形光学波長変換による高出力テラヘルツ波発生および高感度テラヘルツ波検出システムの高度化を目的としている. 研究開始の本年度では, 無機非線形光学結晶であるニオブ酸リチウム(MgO : LiNbO_3)結晶を用いることで, 特にイメージング応用に対して有用な1~3THz帯で高出力発生が可能な光注入型テラヘルツ波パラメトリック発生器(is-TPG)システムの構築に取り組んだ. 励起レーザーシステムの最適化の結果, 0.9~2.8THzの広帯域に渡って連続的に周波数可変なテラヘルツ波発生に成功し, 最大で約0.5μJ/pulse(尖頭出力で約3kW相当)のテラヘルツ波出力を得た. さらに新知見として, 今回構築したis-TPGシステムを用いて複数のテラヘルツ波帯焦電検出器の周波数特性を比較したところ, それぞれの検出器構造を反映したと考えられる特徴的なフリンジパターンが観測されるなど, 個々の焦電検出器が大きく異なる応答特性を有することを明らかにした. また, 二つの焦電検出器を用いたバランス検出システムを利用して測定中の強度揺らぎを補正することにより, システム全体が常温動作でありながら, 高精度な分光計測が可能となった. 被測定サンプルとして, 常温常圧下の水蒸気の吸収線を測定した結果, is-TPGシステムの発振線幅が4GHz程度であることを明らかにするともとに, HITRAN2012データベースと比較して10^<-4>オーダーの周波数精度(1.4104THzの吸収線に対して0.2GHzの精度)で中心周波数を決定できることを実証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニオブ酸リチウム(Mgo : LiNbo_3)結晶を用いたテラヘルツ波発生において, 最大で3kWの尖頭出力並びに0.9~2.8THzの連続的周波数可変性を有する高強度単色テラヘルツ波光源の構築に成功したため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画では, まず, 発生の逆過程を利用することで, 発生システムに対応した0.9~2.8THzで動作し, 最大で10桁以上のダイナミックレンジを有する高感度テラヘルツ波検出システムの構築に取り組む. そして, 構築した高出力・高感度システムの利点を活かして, 今まで測定すること自体が困難とされてきた, 高損失系の分光計測を進めていく予定である. また, 平行して, 有機非線形光学結晶であるDAST結晶やBNA結晶を用いた1~30THzに及ぶ超広帯域計測システムの立ち上げを目指す.
|
Research Products
(4 results)