2013 Fiscal Year Annual Research Report
麻疹ウイルスに対する個体レベルでの感染防御の分子機構の解明
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13J40020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有木 宏美 (高木 宏美) 北海道大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 麻疹ウイルス / I型IFN / MAVS / MyD88 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
麻疹ウイルス(Measles virus)は肺胞マクロファージや樹状細胞(dendritic cells, DCs)などミエロイド細胞に発現しているウイルス受容体のCD150を介して気道経由で感染し、その後感染ミエロイド細胞がリンパ節へと移動して、リンパ節においてT, Bリンパ球へとウイルス感染を拡大させることがサルの実験系で報告されている。WVの自然宿主はヒトであり、個体レベルでの感染防御機構を解明するのは困難であつた。そこで我々はヒトCD150を発現するCD150トランスジェニックマウス(Tg)を作製し、IFN受容体(IFNAR)ノックアウトマウスと掛け合わせ、MV感染モデルマウスであるCD150Tg/lfnar-/-マウスを作製した。さらに、本研究ではMVに対する生体防御機構を固体レベルで解明するために、I型IFN誘導経路に関する分子のノックアウトマウス(MAVS, IRF3, IRF7)とCD150TgマウスとCD150Tgを掛け合わせ、感染実験を行った。CD150Tg/lfnar-/-マウスでは脾臓、リンパ節で高効率にMV感染が観察されたが、予想に反して、RIG-1, MDA5の共通のアダプター分子であるMAVSのノックアウトマウス(CD150Tg/Mavs-/-)ではin vivo感染は成立せず、脾臓においてI型IFNの発現が観察された。骨髄由来樹状細胞を使うとMV感染の検知にはMAVS依存性のIRF-3/7非依存性経路が関与したが、MAVSKOマウスはvivo実験で感染を惹起しなかった。以上の結果よりin vivo感染時にMAVS非依存的にI型IFNを誘導する経路を持つ細胞が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種ノックアウトマウスとCD150Tgを交配し、in vivo感染の結果より当初予想されたMAVS経路以外の経路を介した新たな感染防御機構の解明を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で麻疹ウイルスの認識機構がMAVS, MyD88の両経路によって担われていることか明らかとなった。今後はエンドソームにあるTLR7経路が麻疹ウイルスを認識する分子機構について検討する。また、感染樹状細胞がT細胞に与える影響についても共培養の系を用いて検討する。
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Research Products
(2 results)