2013 Fiscal Year Annual Research Report
血小板因子CLEC-2による造血幹細胞と骨髄血管ニッチの相互制御の解明
Project/Area Number |
13J40030
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石津 綾子 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 造血幹細胞 / 巨核球 / CLEC-2 / ニッチ / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
本研究は遺伝子欠損マウスの形態学的、分子生物学的解析を中心にCLEC-2分子を中心としたリンパ管発生・新生関連因子の骨髄での造血支持機能の解析を行う。研究目的の分子遺伝学的な証明のために遺伝子改変マウスを駆使し、骨髄移植を含む詳細な造血解析と免疫染色、flow cytometry及びPCRによりタンパク、遺伝子レベルでの解析を行う。CLEC-2が血小板・巨核球、類洞内皮細胞及び造血幹細胞に高く発現することを受け、それぞれの細胞でCLEC-2を特異的に欠損したマウスの定常状態及びストレス下の造血状態を解析する。 本年度はすでに繁殖に成功している血小板特異的CLEC-2欠損マウス(CLEC-2 floxed/floxed X PF4 Cre)の造血状態の解析を行った。造血幹細胞の解析に関しては、Flow cytometryを用いて、欠損マウスの骨髄、末梢血、脾臓の造血幹細胞分画、各種lineageの頻度を解析した。造血幹細胞の細胞周期性も評価したところ静止期にある造血幹細胞の頻度がCLEC-2欠損マウスで低下していた。また、分離した造血幹細胞より、遺伝子を抽出し、リアルタイムPCRにより、細胞周期関連遺伝子の発現解析にて、静止期の維持に重要な遺伝子の発現解析の低下をみとめた。未分化造血幹細胞を放射線照射後のマウスに同種造血幹細胞移植し、その長期造血能を評価したところ、CLEC-2欠損マウスから得られた造血幹細胞はwild typeと比較して著明に生着率が低かった。CLEC-2欠損マウスでは著明な脾腫とともに、脾臓における造血幹細胞の数が有意に増加し、髄外造血がみとめられた。さらに免疫染色により造血幹細胞、巨核球及び血管の空間的配置や形態の異常を解析したところ、wild typeと比較し、CLEC-2欠損マウスの造血幹細胞は巨核球から有意に離れて骨髄内に存在した。今後、CLEC-2を介した造血幹細胞・巨核球・類洞内皮細胞のクロストークによる造血幹細胞の維持・分化・増殖機構の統合的な解明をめざす。さらに、骨髄線維症や白血病において、CLEC-2分子の関与に関しても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった、巨核球特異的CLEC-2欠損マウスの造血状態の解析を概ね遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後共、遺伝子欠損マウスの解析を主軸に遺伝子学的・分子学的解析、免疫組織染色を主体とした形態学的手法、フローサイトメトリーなど多彩な研究手法にて研究を遂行していく予定である。
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Research Products
(2 results)