2014 Fiscal Year Annual Research Report
血小板因子CLEC-2による造血幹細胞と骨髄血管ニッチの相互制御の解明
Project/Area Number |
13J40030
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石津 綾子 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / CLEC2 / 巨核球 / ニッチ / 類洞血管 / 骨髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄ニッチ(造血微細環境)は造血幹細胞の維持・増殖・分化に必須の組織である。本研究は、血小板因子であるCLEC-2 に注目し、これらの骨髄での発現が正常造血および造血器腫瘍の維持にいかなる機能を果たすかノックアウトマウスを用いて解析することに目的がある。本年度は特に巨核球による造血幹細胞の制御に焦点を当て、成熟血球ながらも巨核球が造血幹細胞を維持するニッチの一員であることを解析し論文として発表した(Nakamura-Ishizu BBRC,2014)。詳細には巨核球において特異的に細胞死を誘導できるマウスモデルを解析し、骨髄中の巨核球が造血幹細胞を静止期の維持するのに非常に重要であることを観察した。また、巨核球は造血幹細胞と共培養した際に培養系において造血幹細胞の数を維持するのに重要で、特に巨核球が産生するサイトカイン、Thrombopoietinがその機能に関与していることが考えられた。これらの結果をまとめ、論文で発表するとともに、現在までの研究結果を国内学会で発表した。また、これに加え、造血幹細胞制御に関する総説を2報発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究結果を本年度は論文および国内学会で発表することができた。そのため、研究はおおむね順調に進行している。しかし、巨核球ニッチによる造血幹細胞制御機構に関して、そのメカニズムの詳細な解明にはまだ至っていない。同時に、類洞血管内皮細胞や骨芽細胞など他のニッチ細胞と巨核球のクロストークによる造血幹細胞制御の解析もまだ進行している。2月に研究所属先の移動のため、飼育マウスの搬送、機材、試薬の搬送などにより研究はやや遅れてしまっている部分もある。今後はさらに巨核球ニッチの詳細なメカニズム解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はこれらの結果を踏まえ、巨核球と巨核球に発現するCLEC2による造血幹細胞制御に関する機能を解明していく。特にCLEC-2と結合性をもつpodoplaninの骨髄内での発現や、CLEC-2の下流のシグナルなどを検討する予定である。具体的には骨髄内におけるpodoplaninの発現を免疫組織染色およびflowcytometryにより確認し、さらにpodoplanin reporter mouseにおける発現を検討している。同時に、CLEC-2ノックアウトマウスおよびpodoplaninノックアウトマウスにおける造血状態を解析する予定である。さらにはCLEC2を介した巨核球におけるThpo産生機構について詳細に検討する予定である。解析方法は分子学的、遺伝子学的な手法、免疫染色などの形態学的手法、フローサイトメトリーなどを用いる予定である。また、成果は国内外学会で発表していく予定である。さらに、結果をまとめ、国際学会誌に投稿するため準備中である。
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Research Products
(4 results)