2013 Fiscal Year Annual Research Report
不安・抑うつ症状の共通要因としての反復思考とその緩和要因の研究
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13J40120
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉浦 知子 広島大学, 大学院総合科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 反復思考 / 破局的思考の緩和 / 診断横断性 |
Research Abstract |
本研究では, 否定的な思考から距離をおくスキル(破局的思考の緩和)がなぜ多数の心理的症状に奏効するのかについて, 共通の要因として反復思考(否定的な思考が持続すること)に注目した。具体的には, 反復思考が破局的思考の緩和と多様な症状との関連を媒介するという可能性を3つの課題を通じて検討することを目的とした。 課題1. 反復思考の尺度を作成(翻訳)し, 種々の症状との関連を検討する。 課題2. 破局的思考の緩和の反復思考への効果を検討する。 課題3. 破局的思考の緩和が反復思考を媒介して症状低減効果を持つというモデルを検討する。 平成25年度には, 以下の研究を行った。 1. 反復思考の尺度を作成(翻訳)し, 大学生およびコミュニティサンプル(web調査)のデータを収集し, 信頼性と妥当性を確認した。 2. 上記の研究課題2,3の基礎として, (1)破局的思考の緩和が自分の思考をネガティブに評価するメタ認知を低減することによって心配を低減すること, (2)破局的思考の緩和は, 2カ月後の心配の程度を, 当初の心配を統計的に統制しても予測すること, を見いだした。 これらの成果として, Psychological Reports誌, Mindfulness誌に論文が掲載(決定)された。また, 単行本(単著)Cognitive control of emotional distress(風間書房)が刊行された。Psychology of mindfulness (Nova Science)という図書にも1論文が収録された。すべて英文の業績である。 平成26年度は, 心配に関して見いだされた2.の(1)や(2)の知見を, モデルに反復思考も含めるとともに, 多様な症状に拡張することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反復思考を測定する尺度の作成と妥当性検証のためのデータの収集と予備的な分析までを行うことができた。また, 破局的思考の緩和の機能に関して, 2本の雑誌論文(査読有), 1本の単著の学術図書, および分担執筆の学術図書が刊行された(いずれも英文)。よって, おおむね順調な発展と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は, 破局的思考の緩和→反復思考→多様な心理的症状というモデルを調査研究によって検証することである。 近年, 調査研究のデザインが急速に洗練されていることを踏まえ, より幅広い対象者を含め, さらに, より頻回な測定を行う。また, 心理的症状の診断分類や症状の捉え方も変化していることから, それらを測定する尺度の改良も含めて調査をすすめる必要がある。
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Research Products
(5 results)