2013 Fiscal Year Annual Research Report
タービダイト泥と半遠洋性泥の起源と堆積プロセスの解明
Project/Area Number |
13J40125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大村 亜希子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | タービダイト泥 / 有機炭素安定同位体比 / 洪水 / 斜面崩壊 / 堆積プロセス / 放射性炭素年代測定 |
Research Abstract |
過去の堆積物の起源と堆積プロセスを解明するために, まず形成イベントが判明している近現世のタービダイトを含む堆積物の解析を実施し, 今後解析する過去のイベント堆積物の試料収集および年代測定を開始した. 1)形成イベントが明らかな堆積物として, 1596年慶長豊後地震(別府湾), 1889年十津川水害(紀伊半島沖), 1959年伊勢湾台風(紀伊半島沖), 2003年台風10号による洪水(北海道日高沖), 2004年紀伊半島南東沖地震(紀伊半島沖), 2011年台風12号による洪水(紀伊半島沖)を対象として, 有機炭素の安定同位体比分析を行なった. 分析結果にもとづいて陸源有機炭素率を見積もり, 洪水と地震による斜面崩壊起源のタービダイト泥には, 混濁流の違いを反映した特徴的な層位変化パターンが認められることを示した. 2)スマトラ沖と別府湾から採取された堆積物の有機炭素安定同位体比測定と有機物の蛍光顕微鏡観察を実施し, 地震による斜面崩壊堆積物の堆積プロセスを検討した. 3)2013年に東京大学大気海洋研究所に新設された加速器質量分析計を使用して, 堆積物中の有機炭素を用いた高精度放射性炭素年代測定を開始した. 熊野トラフ西部深海底から採取されたタービダイトを含む堆積物コアから100試料を分割し, 放射性炭素年代測定に供するための前処理を行った. 本年度は, 同研究所の共同研究者とともに50試料の測定を終了した. 4)日本列島周辺で行っている堆積有機物を用いた解析をティレニア海の堆積物に適用するため, イタリア・ローマ大学に滞在し, 資試料収集を行った. 2007年にティレニア海東部のGioia-Mesima海底チャネル周辺から採取されたグラビティーコアを観察, コア半割面の写真を撮影し, 有機物分析・年代測定・粒度分析用の試料を採取した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
形成イベントが判明しているタービダイトを含む堆積物の解析, 過去のイベント堆積物を含む試料の収集および年代測定は, おおむね計画通りに実施し, 本研究課題の研究目的は順調に達成されつつある. 紀伊半島沖にて調査航海を申請し新たに試料を採取する予定であったが, 既存試料の再調査により本研究に用いることができる試料を発見したため申請は行なわなかった. この予定変更は研究の進展には影響しない.
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Strategy for Future Research Activity |
形成要因がわかっていない過去の堆積物についても本年度と同様の解析を行い, 形成イベントが判明しているタービダイトに認められた陸源有機炭素率の層位変化パターンと比較することにより, 洪水・斜面崩壊のいずれにより堆積したタービダイトであるのかを特定する. 解析対象は主に紀伊半島沖から採取された堆積物コアとするが, 比較対象として, ティレニア海の堆積物コアについても同様の解析を行ない, この手法の日本周辺海域以外への適用も検討する. また, 有機炭素を用いた放射性炭素年代測定を本年度と同様に進め, 起源が判明した過去のタービダイトの形成年代を特定する.
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