2013 Fiscal Year Annual Research Report
視神経の軸索投射におけるタンパク質間相互作用のダイナミックな制御
Project/Area Number |
13J40151
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
羽毛田 聡子 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | ショウジョウバエ / 視神経 / 軸索投射 / Lar / PtP69D / Gogo / 二重変異株 / 相互作用 |
Research Abstract |
LarおよびPtp69Dに注目してショウジョウバエ視神経R8とR7の軸索投射の違いの解明を目指し、以下の実験を実施した。 1) larとptp69Dの2重変異体の作成 クローンにより作成したLarおよびPtp69D二重変異株は、個体が弱く大量解析には使えない。そのため、組織特異的に遺伝子を欠失させるFLICK法を導入し、より生存率の良い二重変異株系統を樹立した。その表現型を観察した結果、クローンによる二重変異株と同様の表現型が得られた。さらに、クローンによる二重変異株では、8種類の視神経のうちR8の軸索についてのみ観察していたが、FLICK系統ではR7マーカーを導入することに成功し、R7が本来投射すべきメダラ層まで達せずにラミナ層で伸長を停止しているという、これまでに報告されたことのない異常が生じていることが新たに判明した。 一方、RNAiを用いた二重変異株ではR7がメダラの表層で停止するという完全二重変異株より弱い表現型を示す。この表現型を生じる原因となっている遺伝子の発現時期を解析したところ、蛹期中期に遺伝子の機能が必要とされることが示唆された。 2) LarおよびPtp69DとGogoとの相互作用 larとptp69Dの2重変異体にGogoの野生型、リン酸化様(DDD)、脱リン酸化様(FFD)変異型の遺伝子を導入し、表現型が抑制するかどうかを確認する系統を作成した。その結果、脱リン酸化様Gogoが二重変異株の異常の一部を回復させているような予備的データーを得ている。また、Gogoの野生型、リン酸化様(DDD)、あるいは脱リン酸化様(FFD)を強制発現した系統に1arとptp69DのRNAiを用いた二重変異株を組み合わせる実験を行ったが、表現型に一貫性がなく、より厳密に発現量を調整する行う必要があると考えられる。 3) larとptp69Dの2重変異体のレスキュー実験 1)で作成した二重変異体に対して、a)細胞内ドメイン欠損型、b)LarとPtp69Dのキメラ型、c)リン酸化活性欠損型を2重変異に導入する系統をストックセンターに注文し、作成準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LarおよびPtp69Dのショウジョウバエ視神経R8とR7の軸索投射における機能解析を目的として研究を遂行し、二重変異株およびGogoとの相互作用の解析について、順調に進んでいる。予定していたレスキュー実験は遅れているが、二重変異株でR7軸索において予想外の興味深い表現型を示すことを発見し、この解析を優先的に行ったことが主な理由である。このことを考慮すると、おおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はLarおよびPtp69Dの機能が発現する時期や機構を詳細に解析していくことを計画している。今年度の研究により、R8軸索のみならず、R7軸索の伸長においても2つの脱リン酸化酵素が機能を重複していることが新たに判明した。しかし、表現型は必ずしも一致しておらず. R7とR8に固有の機能を有していると考えられる。このことを念頭に置き、本来の計画には含めていなかったR7とR8における機能の違いに注目した解析を新たな計画として加え、実験計画を組みなおしたいと考えている。具体的には、それぞれの軸索特異的なレスキュー実験や、2重変異株における蠕期の軸索の伸長をR7とR8軸索に特異的なマーカーを用いて観察することなどを新たな実験計画として加える予定である。
|
Research Products
(4 results)