2015 Fiscal Year Annual Research Report
第二言語コミュニケーション能力の発達に関わる脳内神経基盤の解明
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13J40202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
ジョン ヒョンジョン 東北大学, 加齢医学研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 言語コミュニケーション / 脳内メカニズム / fMRI / 言語処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高度な外国語コミュニケーション能力を支える脳内の神経基盤を解明することである。そのため、第一に、言語リソース(音韻、語彙、文法)の処理と言語コミュニケーション処理に関与している脳内の神経基盤がどのように異なるのか、第二に、言語コミュニケーションに関与する神経基盤に被験者の個人差(コミュニケーション意欲、不安などの心理的要因、言語適正)がどのように影響を及ぼすのかを明らかにする。これまでの実験を通して、他人とのやりとりを前提とするコミュニケーション的言語産出活動と単純な文の産出活動は異なる神経基盤がそれぞれ関連していること、学習者の不安が第二言語のコミュニケーション活動に関連する神経基盤に影響を与えることを検証した。これに加え、平成27年度には、長期的言語産出能力の発達に学習者の様々な言語適正がどのような影響を与えるのかを研究した。具体的には、英語を第二言語として学んでいる30名を対象とするfMRI実験を行った。本実験では、学習者の個人差要因として、語彙記憶力、言語分析能力、ワーキングメモリの三つを測定し、絵を見て文章を産出する言語産出課題、他人が産出する文章を聞く聴覚聞き取り課題を母語と第二言語で行い、その際の脳活動を測定した。現在、実験データを解析し、成果発表を準備している。本研究の研究成果は、言語習得という複雑なメカニズムの解明に貢献するだけではなく、コミュニケーション能力育成のための教授法や指導法の開発に貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
言語コミュニケーション活動の総合的メカニズムの分析のために、平成26年度に続いて、平成27年度には、学習者の言語に関する様々な能力(例:語彙記憶力、言語分析能力、ワーキングメモリ)が言語コミュニケーションの基盤となる神経基盤にどのような影響を与えるのかを総合的に検証するための実験を行った。実験では、英語を第二言語として学んでいる30名を対象として、上述の能力を測定するテストを行った上で、第二言語コミュニケーションに関するfMRI実験を行った。一部のデータを分析した結果、英語の言語産出課題に関与する脳活動と、被験者のそれぞれの個人差要因と脳領域の活動の間では正の相関が観察された。この結果は、学習者がそれぞれの適性を生かして、第二言語によるコミュニケーションを行っている可能性を示唆している。現在、さらに実験データの解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに進行している。平成28年度4月から9月までの残りの研究期間の間、これまでの実験データを最新の分析手法を取り入れ、総合的に分析し、言語コミュニケーション活動に関与する脳内メカニズムに関する論文執筆し、投稿する。そのため、言語認知処理研究において卓越な成果を出しているアメリカのペンシルベニア州立大学に滞在し、Ping Li教授と共同研究を行いながら、最新の分析方法を用いて研究成果の分析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)