2014 Fiscal Year Annual Research Report
ツキノワグマの生態研究の成果を活かす市民向け普及プログラムの開発
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13J40267
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
小坂井 千夏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ツキノワグマ / 出没 / 野生動物 / 衛星テレメトリー / 博物館 / 保護管理 / 鳥獣 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はツキノワグマの人里への出没危険時期を予測し(第1部)、その結果を効果的に市民に普及するプログラムの開発を行うこと(第2部)を目的とする。野生動物問題の解決には多くの市民の野生動物に関する正しい知識が不可欠であるが、本研究は研究成果のアウトプットまでを含んだ計画を立て、クマ出没に対する有効な対策の提案や注意喚起を行うことをゴールとしている。 2年目の平成26年度は、第1部「出没時期予測のための情報収集と解析」では、昨年度から継続している野生個体の行動追跡調査を実施した。行動追跡調査から、ツキノワグマの個体間の血縁関係と行動圏配置の関係について明らかにした。この関係性は、出没の要因となる堅果類の豊凶によっても影響されていることが分かった。 第2部「市民を対象とした普及プログラムの開発」では、まずは普及活動を効果的に実施するために必要な情報の整理を行った。具体的には、クマ類について都道府県が実施する特定鳥獣保護管理計画等の保護管理計画の現状と課題を整理した。この結果、行政においても普及啓発の重要性は広く認識されているものの、実施した普及啓発事業の評価や、その評価結果に基づいた事業改善は、ほとんど実施されていないことが分かった。 以上の成果について、国際誌及び国内誌に投稿した。また、所属博物館において、都道府県が実施する保護管理の取り組みや、特定鳥獣保護管理計画、関連法(鳥獣保護管理法)に理解を深めてもらうための展示を行った。なお、平成26(2014)年度は、出産・育児に伴う採用中断(5ヵ月)があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度中には、出産・育児に伴う研究中断(11月~翌3月の5ヵ月間)があったため、予定より遅れている項目もあるが、学会誌への成果の投稿等はほぼ予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
第1部:ツキノワグマの行動はその年の餌となる食物の状況で大きく変化することが分かっているため、複数年のデータを集めて予測の精度を挙げる必要がある。従って3年目となる本年度も引き続き出没情報や野生個体の行動データを収集し、出没危険時期の予測精度を向上させる。 第2部:出産・育児に伴う研究中断により、特に第2部の普及プログラムの開発の実施が予定よりもやや遅れている。既に平成27年4月より研究を再開しているため、今後、順次実施していく。
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Research Products
(2 results)