2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14001003
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
吉野 一 明治学院大学, 法学部, 教授 (50062162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 勝造 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40152136)
河村 寛治 明治学院大学, 法学部, 教授 (90308073)
加賀山 茂 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20169379)
松村 敏弘 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (70263324)
新田 克己 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60293073)
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Keywords | 法創造 / 法的思考 / リーガルマインド / 法学教育方法 / 教育支援システム |
Research Abstract |
本年度は米国ロースクールにおける契約法、不法行為法などの授業を訪問し、裁判所速記官を雇用して教授の質問と学生の回答などすべての授業内容を記録し、さらに翻訳し、分析するという仕方で、ロースクールにおけるプロブレムメソッド、ケースメソッド、ソクラティックメソッドの使われ方の実際を調査し、分析するとともに併せて教育現場におけるIT利用についての視察を行った。ロースクールの授業が学生自身のしっかりとした予習に基づくものであること、教授の工夫はいかなる予習教材といかなる予想問答集を用意するかにかかっていること、そして、法創造教育を実現するためにもこの点を重視する必要があることが確認できた。予習のための教材としてのWWW教材の重要性は、米国においても確認されたが、我が国においても本研究分担者の実際の法学教育現場において、WWW教材を予め提供して学生に自習させたところ、WWW教材による教材提供は学生自身の予習を促進し、自主的な理解を深めるのに十分効果が出ることが確かめられた。 月1回程度の役割で開催した研究会では、法創造および法創造教育についての議論を行い、「法創造」においては多様な原点から法的問題解決を行う必要があることが明らかになった。法実務教育においては、リスク分析が重要であり、リスク分析を通じた法創造が重要であることがわかった。法と経済学の観点では、厚生経済学の第一定理を闇雲に適用するのではなく、経済学的道具を正しく適用することを学ぶことで、学生の多様な発想を妥協ならしめる可能性について検討した。人工知能における発想支援システム研究や認知科学的な立場からは、法創造においては、多様な発想をすることと、その発想の評価が重要であることが明らかになった。また、議論を通じて既存のe-Learningシステムとの統合の可能性についても検討し、従来のシステムをベースにした教育支援システムの基本設計を行った。
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[Publications] 吉野 一: "Tractatus Logico-Juridicus(1)"The Meiji Gakuin Law Review. March. 1-29 (2003)
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[Publications] 河村 寛治: "U環境法の新展開(1)〜(8)連載中"国際商事法務. 4月号. (2002)
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[Publications] 河村 寛治: "アメリカにおけるサイバーADRの現状"JACジャーナル. 10月号. (2002)
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[Publications] 河村 寛治: "アメリカにおけるサイバーADRの最近の動き"JACジャーナル. 11月号. (2002)
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[Publications] 河村 寛治: "商法改正と米国企業改革法"ビジネス法務. 1月. (2003)
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[Publications] 太田 勝造: "法の経済分析と政策分析"法律時報. 74巻・3号. 70-75 (2002)
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[Publications] 太田 勝造(他2名): "弁護士は利用しやすいか?"Series Law in Action III:交渉と紛争処理. 第14章. 292-321 (2002)
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[Publications] 太田 勝造: "分配的正義の進化:なぜ人々は平等を志向するのか"石川明先生古稀祝賀「現代社会における民事手続法の展開」(上巻). 3-24 (2002)
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[Publications] 太田 勝造: "所有制度の創発と物件・債権の区別"ジュリスト. 1229号. 95-103 (2002)
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[Publications] 太田 勝造: "弁護士の職域"民事司法展望. 501-518 (2002)
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[Publications] 太田 勝造(他2名): "社会秩序とゲーム論:弱肉強食の消費者契約からいかに取引秩序が生まれるか"進化ゲームとその展望. 93-128 (2002)
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[Publications] 太田 勝造: "弁護士報酬敗訴者負担制度の社会影響:予備的実態調査の結果報告"自由と正義. 54巻・1号. 20-37 (2003)
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[Publications] 太田 勝造: "Reform of Civil Procedure in Japan"49 The American Journal of Comparative Law. 561-583 (2002)
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[Publications] 松村 敏弘(他1名): "Mixed duopoly with product differentiation : sequential choice of location"Australian Economic Papers. Vol.42. 18-34 (2002)
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[Publications] 松村 敏弘(他1名): "Mixed oligopoly and spatial agglomeration"Canadian Journal of Economics. Vol.36. 62-87 (2002)
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[Publications] 新田 克己(他2名): "契約トラブルの仲裁・調停支援を行うエージェント"人工知能学会全国大会(16回)1A1-08. (2002)
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[Publications] 新田 克己(他2名): "交渉エージェントのための表情表出アーキテクチャ"人工知能学会研究会資料SIG-KBS-A203-12. 67-72 (2002)
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[Publications] 新田 克己(他2名): "仲介エージェントを用いた論争支援システム"電子情報通信学会技術報告KBSE2002-38. 25-30 (2003)
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[Publications] 河村 寛治: "実践英文契約書の読み方・作り方"中央経済社. (2002)
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[Publications] 執行 秀幸(共著): "民法IV債権各論"青林書院. (2002)
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[Publications] 執行 秀幸(共著): "ケースブック要件事実・事実認定"有斐閣. (2002)