2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14002002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂村 健 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (10126071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 文昭 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70126019)
平勢 隆郎 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (30144645)
大木 康 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70185213)
越塚 登 東京大学, 情報基盤センター, 助教授 (40262266)
鵜坂 則 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (20323454)
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Keywords | デジタルプラットフォーム / 多国語・多漢字 / 東洋文化学 / データベース |
Research Abstract |
本研究は東洋文化研究を支援するデジタルプラットフォームの確立を目的としており、その第一ステップとして、東洋文化圏の文字体系の中でも「漢字」に焦点を絞り、漢籍研究や甲骨文研究の分野での実践を目的としている。 本年度は、本研究の最終年度に当たり、これまでに構築されたデジタルプラットフォームと古典文献データベースの、教育面での利用を実践と、その結果を、東洋文化研究デジタルプラットフォームと東洋文化古典文献データベースにフィードバックさせ、更なる改良を行うことを目標とした。教育面での利用としては、東京大学東洋文化研究所で開催されている「漢籍講習会」の場で、当研究のこれまでの研究で構築された、BTRON用の多漢字フォント、および、その入力支援システムに関しての講習を行った。また、東洋文化研究所所蔵著録の甲骨文字拓本資料から切り出した一文字ずつの甲骨文字画像、および東洋文化研究所で作成された「甲骨文字字釈総覧」をデータベースとして連結し、甲骨資料データベースとして、内部閲覧可能にした。このデータベースを作り上げる上で、整理した甲骨文字拓本資料画像はおよそ51,000点、切り出された甲骨文字画像はおよそ225,000点ある。 この甲骨資料データベースにより、従来は一つの甲骨文が複数の甲骨片に分けて整理されていた場合、別々の資料を順に閲覧しなければならなかったものが、データベースの操作により一括して閲覧することが可能となった。また、このデータベースや「甲骨文字字釈総覧」の元データとなっている「甲骨文編」「殷墟卜辞綜類」、および釈文資料である「甲骨文合集」の間での、整理方法の相違点などが容易に比較できるようになり、甲骨文と現代の漢字との対応をさぐる上でのさまざまな問題が、比較的わかりやすい形で提示されることになった。これは、専門家にとって便利なツールとなるだけでなく、初学者にとっても陥りやすい欠陥を正す上で大いに有用なものとなろう。本年度はまた、デジタルプラットフォームとしての、新たな文字フォントの作成も行った。まず、これまでBTRON用のフォントを作成した、GT文字セット、宋明異体字文字セット、金文釈文文字セット、非漢字文字セットに関しては、BTRONフォントを元に、Windows用のTrueTypeフォントを作成した。これらのフォントを利用することで、画面での表示に関してはBTRONと同様に明朝体・ゴシック体・楷書体のフォントが利用できるようになる。また、新たな文字セットとしては、甲骨文字関係では「殷墟卜辞綜類」の著者島邦男が作り出した個性ある甲骨文書体を島フォントと名付け、およそ3,500文字をフォント化した。また、竹簡文字の研究で利用される竹簡釈文およそ1,100文字の明朝体・ゴシック体・楷書体のフォントを作成した。これらのフォントは、BTRON用、およびWindows用のTrueTypeフォントが作成されており、最終的な字形のチェックが完了し次第、webで無料公開する予定である。これまでの4年間にわたる本研究の成果としては、まず、東洋文化研究デジタルプラットフォームのためのおよそ38万文字のフォントを作成した。また文字検索のためのツールが作成され、部首や画数、文字の部品による文字検索や、関連する文字をBTRONで検索し、入力することが出来る。多漢字コンテンツ処理のためのシステムとしては、Java TRON code Profileを制定し一般に公開した。そして、この仕様に従った実装がなされており、配布・実用化している。多漢字コンテンツを、非多漢字環境で利用するためのシステムとしては、TRONコードをテキスト形式にエンコードして発信するwebサーバやデータベース、多漢字テキストデータを外字フォントと外字利用テキストに変換するフォントトレーサビリティシステムを開発した。 これらのデジタルプラットフォームを利用し、甲骨研究の強力な道具となる甲骨資料データベースが作成された。また、これらのデジタルプラットフォームやデータベースを、実際に利用されている。これにより、漢字を効果的に処理できる研究プラットフォームの構築という、本研究の目的を達成することが出来た。
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Research Products
(5 results)