2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーガイド補償光学系による遠宇宙の近赤外高解像観測
Project/Area Number |
14002009
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
家 正則 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 教授 (30111446)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高遠 徳尚 国立天文台, ハワイ観測所, 助手 (50261152)
高見 英樹 国立天文台, ハワイ観測所, 助教授 (00270455)
有本 信雄 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 教授 (60242096)
小林 尚人 東京大学, 理学部・天文学教育研究センター, 助教授 (50280566)
|
Keywords | 補償光学 / レーザーガイド星 / 波面センサー / 可変形鏡 / 高速制御 / 光ファイバー / 回折限界 / すばる望遠鏡 |
Research Abstract |
本研究は、(1)ハワイ島マウナケア山頂で稼働中の口径8.2mすばる望遠鏡用に本研究グループが開発し共同利用に供している36駆動素子カセグレン補償光学系を188駆動素子のシステムに、更新し、点像関数のピーク強度をさらに改善すること、及び(2)補償光学システムを実際の天体観測で用いる上で必要な明るいガイド星が必ずしも観測対象の近くに無いため、折角の補償光学システムを使える場面が10%程度以下しかないという困難を除くため、人工的に上層大気中に光スポットをつくり、そのスポットを光源として大気のゆらぎを測り、任意の天体を観測することを可能にするレーザーガイド星生成システムを構築することを目的としている。 5年計画の初年度は、(1)と(2)で実際に製作するシステムの概念設計を海外の専門家に披露して意見交換し、詳細設計を進め、特に波面測定用APDセンサー、光ファイバーなど構成品の調達を進めた。レーザーシステムについても、これまでの予備実験結果をもとに本システム構築に向けて、高出力・高信頼性が期待できる全固体レーザーの開発を進め、本年度はそのプロトタイプ機を製作した。 可変形状鏡や制御系の詳細設計を開始し、本計画を進めるための研究員の確保、すばる望遠鏡へ搭載する前にシミュレータ望遠鏡を用いて行う事前試験の概要、ハワイ観測所に全システムを移送し、全体を組み上げて望遠鏡に接続し、本観測を行う手順の確立など、第2年次以降の推進計画を具体化した。 また、本計画の科学的意義と到達目標の妥当性を検証するため、遠宇宙の高解像観測を試験的に行い、観測の校正法、解析法についての検討評価も行った。この試験観測で、従来の補償光学を用いない観測の限界を遙かに凌駕できる見通しが得られた。 計画概要については、8月に開催された国際会議で発表し、また補償光学を用いたいくつかの観測的研究の成果を論文としてとりまとめ、投稿公表した
|
-
[Publications] Hayano, Y., Iye, M., Takami, H.et al.: "Observational Impact of Scattered Light from the Laser Beam of a Laser Guide Star Adaptive Optics System"Publication of Astronomical Society of Pacific. 115. 1419-1428 (2003)
-
[Publications] Iye, M., Shimasaku, K., et al.: "ERO R1 in CL0939+4713 field - Evidence for an S0-like galaxy at z = 1.5"Astrophysical Journal. 590. 770-777 (2003)
-
[Publications] Goto, M., Gaessler, W., Hayano, Y., Iye, M., et al.: "Spatially Resolved 3 micron Spectroscopy of IRAS 22272+5435 : Formation and Evolution of Aliphatic Hydrocarbon Dust in Proto-Planetary Nebula"Astrophysical Journal. 589. 419-429 (2003)
-
[Publications] Goto, M., Hayano, Y., Kobayashi, N., et al.: "Spectroscopy with Adaptive Optics : Spectroral Slope Variations"Proceedings of SPIE. 4839. 1117-1123 (2003)
-
[Publications] Hayano, Y., Takami, H.et al.: "Upgrade plans for the Subaru AO system"Proceedings of SPIE. 4839. 32-43 (2003)
-
[Publications] Takami, H., Takato, N., Hayano, Y., Iye, M.et al.: "Performance of Subaru adaptive optics system and the scientific results"Proceedings of SPIE. 4839. 21-31 (2003)