2002 Fiscal Year Annual Research Report
植物SRY遺伝子:ナデシコ科雌雄異株植物ヒロハノマンテマのY染色体特異的遺伝子
Project/Area Number |
14014209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 重行 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70161338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 幸大 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (40323448)
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Keywords | 雌雄異株植物 / ヒロハノマンテマ / Y染色体 / 植物SRY遺伝子 / BACライブラリー / RAPD-PCR法 / STSマーカー / FISH法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒロハノマンテマ(9,400Mb)のY染色体(860Mb)の雄性決定領域とそこにコードされた雄性決定遺伝子(植物のSRY遺伝子)を同定することにある。このため、雄ゲノムを用いたBACライブラリーの構築を進めている。 ヒロハノマンテマのY染色体STSマーカー(ScD05)に類似した配列を含むBACクローン断片を得た。この断片には蕾で優先的に発現している遺伝CCLS96.1が存在しており、雄では葉より蕾において転写産物の蓄積が多く、雌の蕾では蓄積がほとんどないことがわかった。ただし、CCLS96.1は、non-coding RNAで、タンパク質をコードしていないことが示唆された。 ヒロハノマンテマの染色体末端には、特徴的なサテライトDNA(S1-distal-satDNA)が、常染色体では8対の両腕と3対の片腕に局在し、性染色体てはX染負体の両碗とY染色体の下腕に局在する。構築中のBACライブラリーからS1-distal-SatDNAの繰り返し構造を含む11個のBACクローンを単離した。各クローンの繰り返し単位(約310bp)の塩基配列を決定し、近隣結合法を用いて無根系統樹を作成したところ、11個のBACクローンより得られた繰り返し単位は4つのクラスター(SacI, KpnI, E, Fファミリー)を形成した。染色体上の分布を調べるため、KpnIファミリーとSacIファミリーの配列をプローブとしてマルチカラーFISHを行ったところ、KpnIファミリーは7番染色体に存在することを見出した。KpnIファミリーを含むBACクローン(#15B12)にはKpnIファミリー約450個からなるストレッチがほぼ完全に含まれているが、このストレッチに隣接する領域はY染色体短腕末端に相同性があることが示唆されている。この領域付近でY染色体特異的遺伝子の探索を続行している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Uchida, W.: "Interstitial telomere-like repeats in the genome of Arabidopsis thaliana"Genes Genet.Syst.. 77. 63-67 (2002)
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[Publications] Nakao, S.: "RAPD isolation of a Y chromosome-specific ORF in a dioecious plant, Silene latifolia"Genome. 45. 413-420 (2002)
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[Publications] Matsunaga, S.: "LTR retrotransposons in the dioecious plant Silene Latifolia"Genome. 45. 745-751 (2002)
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[Publications] Miyazawa, Y.: "Isolation and expression of a novel starch-storing cell-specific gene containing the KH RNA binding domain from tobacco-cultured cells BY-2"J.Exp.Bot.. 53. 2451-2452 (2002)
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[Publications] Uchida, W.: "Distribution of internal telomere-like repeats and their adjacent sequences in a dioecious plant, Silene latifolia"Chromosoma. 111. 313-320 (2002)
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[Publications] Obara, M.: "A plant Y chromosome-STS marker encoding a degenerate retrotransposon"Genes Genet.Syst.. 77. 393-398 (2002)
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[Publications] 河野重行: "オルガネラの起源とその進化"朝倉植物生理学講座第4巻「植物細胞」朝倉書店(分担執筆). 160-174 (2002)