2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインダイナミクスのプロテオーム解析に関する基礎的研究
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14014240
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 助手 (90295197)
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Keywords | プロテオーム解析 / 情報伝達機構 / マイクロドメイン / コレステロールラフト / コレステロール硫酸化 / コレステロール硫酸転移酵素 / 膜タンパク質 / 二次元電機泳動 |
Research Abstract |
細胞のシグナル応答によって誘導されるタンパク質のダイナミックな挙動をプロテオーム解析により網羅的に解析できる分析方法の確立を目的とし、そのための細胞分画条件、二次元電気泳動による分離条件の検討を行う。哺乳動物の細胞膜には、コレステロールやスフィンゴ脂質に富んだメンブランマイクロドメイン(ラフト)が存在する。近年、これらは細胞間情報伝達の場として重要な機能を持つことが明らかとなりつつある。細胞がシグナルを受け取ったときに多くのシグナル分子がこのラフト画分に集積してくることが報告されている。そこでシグナル伝達系の網羅的解析を目的としラフツ画分へ移行するタンパク質の網羅的解析によるシグナル伝達系全貌解明の糸口を見つける。またラフトの動的制御機構とコレステロール硫酸化の関係について検討する。 ラフトは疎水性の強い膜画分であり、通常使用されている二次元電機泳動の条件では分析することが困難である。そこで、非界面活性剤スルホビテインを使用した膜タンパク質の分離条件の検討を行った。その結果、NDSBを使用することで膜タンパク質のIPGストリップによる一次元電気泳動での分離が向上した。 さらに、ラフトの制御機構としてラフト画分のコレステロールの硫酸化に着目した研究を行った。まず生体内でコレステロールの硫酸化に関与する硫酸転移酵素を同定した。その結果、ヒトおよびマウスにおいてSULT2B1と分類される硫酸転移酵素がラフトコレステロールを硫酸化することが判明した。コレステロール硫酸化の結果、ラフトに局在化する膜タンパク質が可溶性画分に局在性を変えることが生化学的な実験より明らかとなった。現在、ラフトの制御機構としての硫酸化の可能性を培養細胞レベルで検討中である。
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