2002 Fiscal Year Annual Research Report
微生物における転写調節系の比較ゲノミクス・プロテオミクス
Project/Area Number |
14014250
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
藤田 信之 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助手 (90173434)
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Keywords | バクテリア / 転写因子 / 転写調節 / 比較ゲノミクス / タンパク質ファミリー |
Research Abstract |
ゲノム配列が公開されているバクテリア44種を対象として、転写因子と想定されるORFを網羅的に計6,000個余り収集し、50種類以上のファミリーに分類した。代表的な生物種については、大腸菌が約270個、枯草菌が約240個、ラン藻Synechocystisが約55個などであった。どの分類群に属するかによらず、転写因子の総数とゲノムサイズとの間には明らかな相関が見られた。ただしラン藻(2種)とマイコバクテリウム(2種)では、ゲノムサイズあたりの転写因子の数が他に比べて少ない傾向がみられた。またゲノムサイズが1.5M以下のクラミジア、マイコプラズマなどのバクテリア種では転写因子の数は極端に少なかった。 アミノ酸配列に基づいた系統解析の結果などから、多くの転写因子ファミリーは相当に古い起原を持つと推定された。一方では、配列の類似性から一義的にオーソログを定義できるのは、例外的なケースを除けば、近縁のバクテリア種(プロテオバクテリアγ群、同α群、低GCグラム陽性菌など)の間に限られた。したがって進化の過程で転写因子の構造そのものは高度に保存されてきたものの、具体的な機能(標的遺伝子)は種内での遺伝子重複や水平伝達などの過程で比較的柔軟に獲得されてきたものと推測された。個々の転写因子の内在性、外来性を評価する目的で、コドンの使用パターンについて多変量解析を行なった結果、外来性の程度は転写因子ファミリー間で大きく異なることがわかった。 転写因子のin vitroでの配列特異的なDNA結合能を利用して、ゲノムライブラリから転写因子の標的配列を選択する方法を開発した。この方法を使ってCRPの新たな標的遺伝子を10個以上同定することができた。 これらの成果をデータベースとしてWeb上で公開する準備を進めている。またそのためのプラットホームとして構築した微生物ゲノムの検索・解析ツールをMicrobial Genome Work-bench(http://comtraf.lab.nig.ac.jp/mgw/)として公開した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Colland, F.: "The interaction between σ^S, the stationary phase a factor, and the core enzyme of Escherichia coli RNA polymerase"Genes to Cells. 7. 233-247 (2002)
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[Publications] Yamamoto, K.: "Novel mode of transcription regulation of divergently overlapping promoters by PhoP, the regulator of two-component system sensing external magnesium availability"Molecular Microbiology. 45. 423-438 (2002)