2002 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドペトリネットを用いた細胞周期制御因子のシュミレーションモデルの開発
Project/Area Number |
14015236
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小谷 秀示 理化学研究所, 情報伝達モデル化研究チーム, 研究員 (60281622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 隆 (株)NTTデータ, バイオインフォマティクスグループ, (正社員)研究職
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Keywords | 細胞周期 / シミュレーション / in vivo / ペトリネット / サイクリン依存性キナーゼ |
Research Abstract |
細胞周期(Cell Cycle)は、細胞の増殖、分裂という最も基本的な振る舞いを顕わしている。これまでにシミュレーションが試みられてきた転写調節やシグナル伝達に比べて細胞生物学的動態を含み可視的変化に飛ぶことと、細胞周期を制御するほとんどの因子がフィードバックシステムを持ち、全体としてサークル状の伝達系対を持つことが特徴である。すなわち、タンパクのリサイクリング機構を持ち、最終的にシグナルが初期状態に帰結するという、いわゆるシグナル伝達の方向性とは異なる独自の系を持っている。本年度、我々はコンピューターシミュレーションツールの一つであるペトリネット(Petri Nets : PN)を用いて細胞周期を一周するモデルの構築を試みてきた。細胞周期のコアには数種のサイクリン依存性キナーゼ(Cdk)キナーゼが細胞周期エンジンとして働いており、PNを用いてこれらキナーゼのin vivoにおける動態を正確に反映するモデルを構築した。細胞周期の各フェース全体を制御するCdkの細胞周期における発現、活性化、不活化に関する詳細なネットワークモデルをPNを利用して構築した。本モデルを用いると、簡単なパラメーターの操作によって、タンパクの過剰発現や遺伝子ノックアウトによるタンパク発現の低下などの状態に細胞が陥った場合に、細胞周期、すなわち、細胞の増殖課程にどのような影響が生じるかが、瞬時にシミュレーションできる。その結果、これまで論文として発表されたin vivoの実験結果を容易にモデル上で再現することができた。さらに、in vivoでは未だ報告がない実験結果をシミュレーションし、その結果の正当性に関して、実際的に細胞内タンパク強制発現法、siRNA法などの生物実験を行い検証した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 小長谷明彦, 小谷秀示, 吉岡隆: "遺伝子知識スパイラル-ポストゲノムシーケンス時代のバイオインフォマティクス-"人工知能学会誌. 18. 2-7 (2003)
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[Publications] 小谷秀示, 吉岡隆, 小長谷明彦: "高等真核生物体細胞周期モデルによるサイクリン依存性キナーゼの機能解析"ソフロウェアバイオロジー. 3(In press). (2003)
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[Publications] 小谷秀示: "分裂期における染色体分配の分子機構"実験医学. 20. 532-539 (2002)
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[Publications] Taichi Nakamura, Hisao Suzuki, Takashi Okamoto, Shuji Kotani, Yoriko Atsuji, Toshio Tanaka, Yasuhiko Ito: "Recombinant Vpr (rVpr) causes augmentation of HIV-1 p24 Ag level in U1 cells through its ability to induce the secretion of TNF"Virus Research. 90. 263-268 (2002)