2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病脳におけるリン酸化反応基質蛋白の動態とその病態に果たす役割
Project/Area Number |
14017007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辛 龍雲 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40271910)
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Keywords | アルツハイマー病 / OXR蛋白 / リン酸化蛋白 / 酸化的ストレス |
Research Abstract |
我々は既に、独自に開発した、Al^<3+>のリン酸化蛋白に対する選択的結合作用を利用したリン酸化蛋白分離法を用いて、アルツハイマー病(AD)および正常コントロール脳よりリン酸化蛋白を抽出、この溶出液を材料にして、2次元電気泳動、peptide mass finger printing、アミノ酸sequencing等による解析を経て、AD脳において発現量に変化のみられるリン酸化蛋白二十数種類を単離・同定した。このうち、AD脳で有意な減少を示した蛋白の中に、oxidation resistance protein(OXR)と名づけられた蛋白が含まれていた。これは最近発見された、酸化的ストレス障害の修復に関連した蛋白で、ADの病態との関連性で興味ある対象である。我々は、本研究において、ADの病態におけるこの蛋白の役割に焦点を当てて研究を開始した。まず、OXRリコンビナント蛋白を調整して、OXR蛋白に対する3種類のモノクロナール抗体を作製した。この抗体を用いて、AD脳(n=10)とコントロール脳(n=10)におけるOXRの発現量を検索した。コントロールに比して、AD脳全例でその発現量が低下しているということは無く、コントロールよりも増加している例も存在し、AD脳におけるOXR蛋白発現に一定のパターンは観察されなかった。OXR分子内には14箇所のSer/Thr仮想的リン酸化部位が存在する。このSer/Thr14個所すべてをsite-directed mutagenesisによってAlaに置換し、リン酸化を受けることのできない変異体OXRを調製した。この野生型OXRと変異型OXRの293細胞、N2a細胞、COS7細胞を用いた発現系を作製し、発現蛋白の生化学的検討と、酸化的ストレスに対するOXR発現あるいは非発現細胞の感受性試験を施行するための実験系を確立した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yamamoto A, Shin R-W, Hasegawa K, Naiki H, Yoshimasu Y, Kitamoto T.: "Iron (III) induces aggregation of hyperphosphorylated tau and its reduction to iron (II) reverses the aggregation : implications in the formation of neurofibrillary tangles of Alzheimer's disease"J Neurochem. 82. 1137-1147 (2002)
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[Publications] Kitamoto T, Mohri S, Ironside JW, Miyoshi I, Tanaka T, Kitamoto N, Itohara S, Kasai N, Katuski M, Higuchi J, Muramoto T, Shin R-W.: "Follicular dentritic cell of the knock-in mouse provides a new bioassay for human prions."Biochem Biophys Res Corn. 294. 280-286 (2002)
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[Publications] Shin R-W, Kruck TPA, Murayama H, Kitamoto T.: "A novel trivalent cation chelator Feralex dissociates binding of aluminum and iron associated with hyperphosphorylated tau of Alzheimer's disease"Brain Res. 961. 139-146 (2003)
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[Publications] Kuazi DA, Kito K, Abe Y, Shin R-W, Kamitani T, Ueda N.: "NEDD8 involvement in the ubiquitinated inclusion bodies"J Pathol. 199. 259-266 (2003)