2002 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物neuronal identity決定の分子機構
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14017045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
斉藤 哲一郎 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (00202078)
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Keywords | 神経細胞 / 発生・分化 / 神経回路網 / 脊髄 / 哺乳動物 / 転写因子 / ホメオボックス遺伝 / 電気穿孔法 |
Research Abstract |
哺乳動物の多様な神経細胞の各々に特徴的な性質(neuronal identity)が、神経発生から神経回路網の構築・発達に至る過程でいかに決定されるのかを分子レベルで明らかにするため、本年度は脊髄の特定の神経細胞群で発現するBar型ホメオボックス遺伝子のMBH1に焦点を絞り、研究を行った。MBH1の発現を詳細に解析するため、MBH1ゲノムの転写制御領域とレポーター遺伝子のlacZを持つトランスジェニックマウスを作製した。その結果、MBH1の発現は、胎生10.5日に、MATH1発現細胞で始まることが明らかとなった。また、MBH1発現細胞の軸索は、床板を越えて反対側へ伸長するとともに、交連神経マーカーのDCCやTAG-1で標識され、MBH1発現細胞は交連神経細胞へ分化することが示された。さらに、MBH1の転写制御領域に欠損変異や部位変異を導入したトランスジェニックマウスを種々作製することにより、MBH1の転写はMATH1タンパク質が結合するE-boxで制御されることが明らかとなった。 一方、昨年度に確立した脊髄へのin vivo electroporation法を用いMATH1を強制発現させると、MBH1の発現が誘導された。また、MBH1を異所的に発現させると、本来は脊髄の背側に留まり軸索を脊髄同側に沿って頭部に向かって投射する神経細胞が、本来のMBH1発現細胞と同様、軸索を床板に向かって反対側へ投射する交連神経細胞に分化転換することが明らかとなった。この時、MBH1発現細胞の軸索は、本来の交連神経細胞と同様、DCCやTAG-1を発現し、床板を通過後、90度方向転換し頭部へ向かって伸長することが示された。以上の結果、MBH1は、交連神経マーカーのDCCやTAG-1を制御するとともに、軸索の伸長方向や細胞の移動方向等、neuronal identityを制御していることが示され、交連神経細胞の運命は、MATH1からMBH1へ至る転写因子のカスケードで決定されることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tetsuichiro Saito: "Transcriptional cascade to regulate neuronal differentiation by mammalian Barh1 (MBH1)"Catecholamine research : from molecular insights to clinical medicine. 213-216 (2002)
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[Publications] Atsushi Mikami: "Molecular structure of cytoplasmic dynein2 and its distribution in neuronal and ciliated cells"Journal of Cell Science. 115. 4801-4808 (2002)
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[Publications] Rie Saba: "Mammalian BarH1 confers commissural neuron identity on dorsal cells in the spinal cord"Journal of Neuroscience. 23. 1987-1991 (2003)