2002 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴装置を用いたβアミロイドペプチドのリン酸イオンによる凝集抑制機構の解明
Project/Area Number |
14017073
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植田 正 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (90184928)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 義人 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60315091)
門司 晃 九州大学, 医学部付属病院, 助手 (00294942)
井本 泰治 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90038282)
|
Keywords | NMR / β-アミロイドペプチド / 凝集反応 |
Research Abstract |
申請者らは、βアミロイドペプチド1-40、1-42及び沈殿形成が速いβアミロイドペプチド25-35について、リン酸イオンと塩素イオン共存下でペプチドの凝集速度を比較した結果、リン酸イオン共存下では、塩素イオン共存下に比べ、凝集反応が極端に遅い傾向があることを既に報告している。そこで、本研究では、40残基からなるβアミロイドペプチドの凝集反応をリン酸イオンが抑制している理由を解明するため、リン酸イオンがβアミロイドペプチドと特異的な相互作用をしているか否かを調べ、リン酸イオンが凝集過程のどの段階に影響を及ぼすかを核磁気共鳴装置(NMR)を用いて明らかにすることを目的とした。まず、^<15>N均一ラベル化したアミロイドペプチドを発現するために安定同位体の取り込みの効率のよい大腸菌を選択した。リゾチーム-エンテロキナーゼ-βアミロイドペプチド1-40が発現するように遺伝子構築を行い、形質転換体を得て蛋白質発現を行った。リゾチームのシステイン残基に正電荷を持つアルキル化剤を導入することで、融合蛋白質の溶解度が向上し、変性蛋白質のままイオン交換樹脂により融合蛋白質を粗精製できた。エンテロキナーゼを用いて融合蛋白質を消化し、逆相HPLCにより目的のペプチドを精製後、^<15>Nラベル化したβアミロイドペプチド1-40を得ることができた。ペプチドの溶解性が悪いので、DMSO中で^1H-^<15>N HSQCを測定したところ、シグナルが分離良くわかれたスペクトルがえられ、目的のペプチドの調製が成功したことがわかった。水の含量を20%まで向上させた条件で、リン酸を添加したところ、特別なシグナルの変動はなかった。この結果から、アミロイドペプチドの特定な領域にリン酸イオンは結合せず、凝集過程に何らかの影響を与えていることが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Monji A.et al.: "Amyloid-β-protein Aβ(25-35)-associated free radical generation is strongly influenced by the aggregational state of the peptides"Life Sciences. 70・7. 833-841 (2002)
-
[Publications] Ueda T et al.: "Effect of sucrose on formation of theβ-amyloid fibrils and D-aspartic acids in Aβ1-42"Biol Pharm Bull.. 25・3. 375-378 (2002)
-
[Publications] Klein-Seetharaman J et al.: "Long-range interactions within a nonnative protein"Science. 295・5560. 1719-1722 (2002)