2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14017076
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂口 末廣 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60274635)
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Keywords | プリオン蛋白 / 神経変性 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / プルキンエ細胞 / プリオン蛋白類似蛋白 |
Research Abstract |
我々が作成したプリオン蛋白(PrP)ノックアウト(Ngsk Prnp0/0)マウスは、小脳プルキンエ細胞変性死を呈した。しかし、他の教室で作成されたZrch I Prnp0/0マウスではそのような異常はなく、なぜこのような差異が生じるかは不明であった。最近、我々は、PrP遺伝子の下流にPrP類似蛋白(PrP-like protein, PrPLP)をコードする遺伝子を発見した。また興味深いことに、Ngsk Prnp0/0マウスではPrPLPが過剰発現していたが、Zrch I Prnp0/0マウスではこのような過剰発現はみられなかった。このことは、プルキンエ細胞変性死にはPrPの機能消失とPrPLPの過剰発現との両方が必要であることを示唆した。そこで我々はこのことを明らかにするために、Zrch I Prnp0/0マウスにPrPLP遺伝子を過剰発現させ、プルキンエ細胞変性死がおこるかどうかを検討することにした。まず、神経細胞特異的に発現するneuron-specific enolase (NSE)のプロモータの下流にPrPLP遺伝子を挿入したNSE-PrPLP constructを作成した。このconstructをC57BL/6の受精卵に注入し、Transgenic mouseを確立した後、Zrch I Prnp0/0マウスと交配させ、Zrch I Prnp0/0マウスのbackgroundにPrPLPを発現するTg (NSE-PrPLP) Zrch I Prnp0/0マウスを作製した。このうちの1系統に生後8ヶ月から失調様症状がみられ、病理学的にプルキンエ細胞変性死が起こっていることが確認できた。このことからプルキンエ細胞変性死には、PrPの機能消失とPrPLPの過剰発現との両方が必要であることがわかった。
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