2002 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌の粘膜感染を決定するエフェクター蛋白質と宿主因子の相互関係の解明
Project/Area Number |
14021011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 千尋 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70114494)
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Keywords | 病原細菌 / 粘膜感染 / エフェクター / オートプァジー |
Research Abstract |
赤痢菌の粘膜感染にはタイプIII分泌装置を通じて分泌される多くの(20数個)エフェクターが関与している。しかしながら、感染の各過程に関わるエフェクターの役割は多くが不明である。icsBは30-kbの病原性遺伝子塊の遺伝子の一つであり、IpaBCDAエフェクターをコードするipaBCDAの上流にある。そこで、IcsBの感染に果たす役割を推定するために、IcsBのタイプIII依存的な分泌性およびicsB非極性変異の上皮細胞感染に与える影響を調べた。その結果、IcsBはタイプIII分泌機構から分泌されるエフェクターであり、上皮細胞へ侵入直後の赤痢菌から分泌されていることが明かとなった。また、icsB遺伝子の3'-末端から始まるipgA遺伝子産物であるIpgAは、IcsB蛋白の安定性およbびタイプIII分泌装置からの分泌に必要なIcsBに特異的シャペロンであることが判明した。興味あることに、icsBの終止コドンはamber-suppresiveであり、その直後のipgに向かってread-throughが行われ、約70-kDaのIcsB-IpgA融合蛋白が産生されていた。その融合蛋白もタイプIII分泌装置を通じて菌体外へ分泌されるが、病原性に果たす役割は確定できなかった。一方、icsB破壊株によるモルモット角膜結膜炎惹起試験によりIcsBが病原性因子であることを確認するとともに、上皮細胞内に侵入直後のIcsB破壊株は多層のラメラ構造を持つリソソームに囲まれることを見い出した。リソソーム膜上に存在するv-ATPase阻害剤であるバフィロマイシンA1を培地に添加すると、icsB破壊株も野生株と同様の細胞内拡散を回復した。さらに、オートファゴゾームに特異的なマーカーLC3がicsB破壊株の菌体の周囲に局在することを認めた。したがって、IcsBは赤痢菌の上皮細胞への侵入後オートファジーによる捕捉を回避するために働くエフェクターであることが強く示唆されるとともに、宿主細胞内へ侵入した菌の新たな防衛機構が存在することが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tamano, K., et al.: "Purification and detection of Shigella type III secretion needle complex"Methods in Enzymology. 358. 385-392 (2002)
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[Publications] Yoshida, S., et al.: "Shigella deliver an effector protein to trigger host microtubule destabilization, which promotes Rac1 activity and efficient bacterial internalization"EMBO J.. 21. 2923-2935 (2002)
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[Publications] Suzuki, T., et al.: "Neural Wiskott-Aldrich syndrome protein (N-WASP) is the specific ligand for Shigella VirG among the WASP family and determines the host cell type allowing actin-based spreading"Cell. Microbiol.. 4. 223-233 (2002)
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[Publications] Yoshida, S., Sasakawa, C.: "Exploiting host microtubule dynamics : a new aspect of bacterial invasion"Trend in Microbiol.. (in press). (2003)
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[Publications] Tamano, K., et al.: "Shigella Spa32 is an essential secretory protein for functional type III section machinery and uniformity of its Needle Length"J. Bacteriol.. 184. 1244-1252 (2002)
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[Publications] Ogawa, M., et al.: "IcsB, secrete via the typeIII secretion system, is chaperoned by IpgA and required at the post-invasion stage of Shigella payhogenicity"Mol. Microbiol.. (in press). (2003)
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[Publications] Sasakawa, Chihiro: "Bacterial Invasion of Host Cells"CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS (in press). (2003)